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「実家に田んぼと山が」相続で必要な農地・森林の届出

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

実家を相続したとき、土地のなかに田んぼ・畑(農地)や山林が混ざっていると、相続登記とは別に、役所への届出がもう2つ必要になります。どちらも出し忘れると10万円以下の過料(かりょう=罰金のように納めるお金)の対象です。この記事では、その2つの届出の期限と出し先、そして「結局その土地は売れるのか」までをやさしく整理します。

「名義変更は司法書士さんにお願いしたから、もう全部終わったと思っていた」。これは相続のご相談で本当によく聞く言葉です。登記はあくまで「名前を書き換える手続き」で、農地や山を持つことになった人に課される届出は、まったく別の役所が担当しています。

まず「何がついてきたか」を確かめる

①
納税通知書・名寄帳で地目を見る
→
②
相続登記
(3年以内)
→
③
農地は農業委員会へ
(おおむね10か月以内)
→
④
山林は市町村へ
(90日以内)

最初にやることは、固定資産税の納税通知書や名寄帳(なよせちょう=その市町村にある親の不動産の一覧表)を見て、「地目(ちもく=土地の種類)」の欄に「田」「畑」「山林」がないかを確かめることです。親の持ち物を漏れなく洗い出す方法は、「親の不動産」を全部調べる3つの方法|名寄帳と新制度 でくわしく説明しています。

届出①:農地は農業委員会へ、おおむね10か月以内

相続(遺産分割や、相続人への遺贈を含みます)で農地を取得した人は、その農地がある市町村の農業委員会に届け出る義務があります。農地法第3条の3という決まりです。

  • 届出先 農地がある市町村の農業委員会
  • 期 限 法律上は「遅滞なく」。多くの自治体は「おおむね10か月以内」と案内
  • 罰 則 届出をしない・うその届出をした場合、10万円以下の過料(農地法第69条)

ポイントは、何年も耕しておらず草が生えているだけの土地でも、農地であれば対象になることです。「もう畑として使っていないから関係ない」とはなりません。

届出②:山林は市町村長へ、90日以内

都道府県が定める「地域森林計画」の対象になっている森林の土地を取得した人は、所有者になった日から90日以内に、その土地がある市町村長へ届け出ます。森林法にもとづく制度で、2012年(平成24年)4月から義務になりました。

面積の下限はなく、小さな山でも対象です。遺産分割の話し合いがまだ終わっていなくても、相続が始まった日から90日以内に「法定相続人の共有」として届け出るよう案内している自治体が多くあります。こちらも、届出をしない・うその届出をした場合は10万円以下の過料が科されることがあります。なお2026年(令和8年)4月から届出書の様式が変わり、所有者の国籍等を書く欄が加わりました。

「宅地と同じようには売れない」ことも知っておく

農地は、そのままでは誰にでも売れません。買い手が農家でない場合は、宅地などに変える「転用」の手続きが必要です。その農地が市街化区域にあれば農業委員会への「届出」で済みますが、市街化調整区域にある場合は都道府県知事などの「許可」が要り、ハードルが上がります。生産緑地に指定されている農地は、原則として転用できません。

引き取り手がどうしても見つからない場合の最後の選択肢については、相続土地を手放す最終手段「申請5,863件」の実態 もあわせてご覧ください。

相続したあとの確認チェックリスト

  • ☐ 納税通知書・名寄帳に「田」「畑」「山林」の地目がないか確認した
  • ☐ 相続登記を済ませた(または3年の期限内に申請する予定がある)
  • ☐ 農地がある市町村の農業委員会に連絡した
  • ☐ 山林がある市町村の林務担当課に連絡した
  • ☐ その農地が市街化区域か市街化調整区域か、生産緑地かを確認した
  • ☐ 売却・貸し出し・手放す、どの方向で考えるかを家族と話した

相続した不動産・空き家のご相談はこちら

実家や親族の不動産を相続して何から手をつければよいか分からない方、所有している空き家の活用・売却・解体を検討中の方、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。農地や山林が一緒についてきたケースもご相談いただけます。

お電話:06-6195-8209

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よくある質問

Q. 何年も放ってある、草ぼうぼうの畑でも届出は必要ですか?
A. 必要です。使っていなくても地目や現況が農地であれば対象になります。迷うときは、土地がある市町村の農業委員会に地番を伝えて確認してください。

Q. 相続放棄をすれば、この届出も要らなくなりますか?
A. 相続放棄が認められれば、はじめから相続人でなかった扱いになるため届出義務も生じません。ただし原則3か月の期限があり、実家などもまとめて放棄することになります。

Q. 期限を過ぎてしまいました。もう手遅れでしょうか?
A. 期限後でも届出自体は受け付けてもらえるのが一般的です。気づいた時点で、できるだけ早く窓口に相談してください。

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