
カフェ閉店の「4つの理由」と今日からできる対処法
カフェの閉店は、だいたい①席の回転が上がらない ②値上げができていない ③店主の体力・人手 ④立地と営業時間のずれ――この4つのどれかに行き着きます。「このまま続けていいのか分からない」と感じたら、気持ちで決める前に数字で確かめてください。そして閉めると決めたなら、カフェは居抜き(内装や設備を残したまま次の人に譲ること)で引き継ぎ先が見つかりやすい業態です。解約を伝える前に動くことで、手元に残るお金が変わります。
カフェの倒産は減っている。でも「閉店」は減っていない
帝国データバンクの調査では、2026年1〜5月の「喫茶店」の倒産は24件で、2年ぶりに減少しました。ただしこの調査の対象は、負債1000万円以上の法的整理に限られます。つまり、借入が少ない個人のカフェが静かに店を閉じるケースは、この数字には入ってきません。
一方、飲食店全体の倒産は2026年上半期で473件と過去最多を更新しています。コーヒー豆や牛乳・小麦の値上がり、電気代、人件費――カフェを取り巻く環境が楽になったわけではないのです。「周りのカフェはまだやっているから自分も大丈夫」という比べ方は、あまり役に立ちません。
よくある4つの理由と、明日からできる一手
| よくある理由 | お店で起きていること | 明日からできる一手 |
|---|---|---|
| ①席の回転が上がらない | 1人のお客様の滞在時間が長く、席が空かない | 1週間、時間帯ごとの客数と客単価を記録する |
| ②値上げができていない | 豆・乳製品・小麦の値上がりを自分でかぶっている | 看板商品1つだけ、価格と内容を見直す |
| ③店主の体力・人手 | ワンオペで休めず、体調で営業が止まる | 売れない時間帯を閉め、利益が残るか試算する |
| ④立地と営業時間のずれ | 家賃に対して、来店できる人の数が足りない | 家賃÷売上(賃料比率)を計算する |
どれも「気合いが足りない」という話ではありません。カフェは客単価が低く、滞在時間が長い業態です。席数と営業時間に売上の上限があらかじめ決まっている、という構造の問題です。
判断は「3つの比率」で見ると迷いません
飲食店の経営では、次の比率が目安としてよく使われます。あくまで目安ですが、自分の店がどのくらい離れているかを知るには十分です。
- 原価率(食材費÷売上):カフェは30%前後が目安
- FL比率(食材費+人件費÷売上):60%以内が目安
- 賃料比率(家賃÷売上):10%以内が目安
たとえば客単価800円で1日50人なら、売上は1日4万円、月25日営業で100万円です。この店の家賃が20万円だと、賃料比率は20%。目安の2倍で、食材費と人件費を払う前にすでに苦しい、ということが数字で見えます。
閉店するかどうかの線引きを具体的な数字で決める方法は、「撤退ライン」の決め方|閉店は3つの数字で判断で詳しく整理しています。
閉めると決めたら、順番を間違えないこと
数字で現状を確認
解約予告期間を確認
譲渡の可否を相談
引き継ぎ先を探す
解約を通知
引き渡し
大事なのは、③の相談が⑤の通知より先だということです。解約通知を出してしまうと、残された期間で買い手を探すことになり、足元を見られやすくなります。「やめます」と伝える前に、「譲ってもいいですか」と聞く。これが順番です。
閉店日や物件の引き渡し日は、次の一歩を気持ちよく始めるために「縁起」を気にされるオーナーも多い項目です。大安・一粒万倍日・天赦日などの日取りは、下の月別カレンダーで確認できます。
※縁起は気持ちの問題です。実際の日程は、賃貸借契約の解約予告期間・家賃の発生日・原状回復の工期を優先して決めてください。
カフェは「居抜きで引き継いでもらいやすい」業態です
カフェの設備――エスプレッソマシン、製氷機、シンク、冷蔵庫、カウンター――は、次に入る人がそのまま使えるものが多く、内装も「そのまま営業したい」と思われやすい作りになっています。ここはカフェの強みです。
ただし、2つ気をつける点があります。
1つは、火力です。 カフェ仕様の物件はガスの容量や排気ダクトの能力が小さいことが多く、ラーメン店や焼肉店のような強い火を使う業態には転用しづらいのです。買い手の候補は、カフェ・ベーカリー・スイーツ・バー・小さな物販など、火をあまり使わない業種まで広げて探すのが現実的です。
もう1つは、原状回復(げんじょうかいふく=借りたときの状態に戻す義務)の費用です。 カフェは木の造作や塗り壁など、手づくりの内装が多い分、すべて解体して何もない状態(スケルトン)に戻すと、思ったより高くつきます。見積もりの読み方は店舗の原状回復見積もり「スケルトン戻し」の落とし穴とはにまとめています。
なお、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は民間の賃貸住宅を対象にしたもので、お店の賃貸借にはそのまま当てはまりません。店舗では契約書の特約(とくやく=個別の取り決め)が優先されます。まずは手元の契約書を読むのが先です。
閉店を考え始めたときのチェックリスト
- ☐ 直近3か月の「売上・家賃・食材費・人件費」を月ごとに並べた
- ☐ 家賃÷売上(賃料比率)を計算した
- ☐ 賃貸借契約の解約予告期間(何か月前に伝えるか)を確認した
- ☐ 造作譲渡や転貸が認められるか、契約書の条項を確認した
- ☐ 厨房機器のリース・分割払いの残債を一覧にした
- ☐ 管轄の保健所(飲食店営業の廃止届の提出先)を確認した
- ☐ スタッフに伝える時期を決めた(解雇の予告は最低30日前が原則)
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カフェは「まだ営業できているうち」に相談すると選択肢が残ります
株式会社不動産スペース(店舗市場)では、大阪エリアで新しい出店先をお探しの飲食店様、そして計画的な移転・閉店・居抜き売却をご検討中の飲食店様の両方からご相談をお受けしています。「まだ決めていない」段階でも構いません。
お電話:06-6195-8209
よくある質問
Q. まだ赤字ではないのですが、閉店を考えるのは早すぎますか?
A. 早くありません。営業が続いていて数字が見える時期のほうが、居抜きの引き継ぎ先は見つかりやすく、条件も良くなりやすいです。
Q. 「もう限界かもしれない」と思ったら、最初に誰に相談すればいいですか?
A. 国が設けた無料の相談窓口「よろず支援拠点」と、顧問税理士が入口です。物件と設備の話は、店舗に強い不動産会社に並行して相談してください。
Q. カフェをやめるとき、保健所への届出は必要ですか?
A. 必要です。飲食店営業の廃止届を管轄の保健所に出します。喫茶店営業の許可は2021年6月に飲食店営業へ統合されているため、現在の区分は飲食店営業です。
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