
『閉店告知の順番』スタッフと大家さんどちらが先?
閉店告知は「伝える順番」で手取りが変わります
閉店のお知らせで絶対に最後なのは、お客様・SNSです。迷うのは「スタッフ」と「貸主(大家さん)・譲渡先」のどちらを先にするか。答えは契約書の解約予告期間(やめると伝えてから出るまでに必要な期間)で決まります。飲食店で多い3〜6か月の契約なら、貸主・譲渡先のほうが先です。「もう限界かもしれない」と感じたとき、ここを間違えると手元に残るお金が減り、最終営業日まで店が回らなくなることさえあります。
【解約予告期間が3〜6か月のとき=飲食店で多いパターン】
貸主・管理会社
/譲渡先
スタッフ
お客様・SNS
【解約予告期間が1〜2か月と短いとき】
スタッフ
貸主・管理会社
/譲渡先
お客様・SNS
スタッフに「早すぎる告知」をすると店が回らなくなる
ここが一番の落とし穴です。飲食店の賃貸契約では解約予告期間が6か月のケースが珍しくありません。だからといって、6か月前や3か月以上前にスタッフへ閉店を伝えると、多くの人が先に次の職場を決めて辞めていきます。結果、閉店予定日より前にシフトが埋まらず、店を続けられなくなります。売上が落ちた状態で最後の数か月を過ごすことになり、居抜きで譲る交渉をする体力も失います。
つまりスタッフへの告知は「早ければ良い」ものではありません。最終営業日から逆算して1.5〜2か月前を基本に考えてください。
それでも「30日前」は法律上の最低ライン
お店を閉めれば、スタッフを辞めてもらうことになります。厚生労働省の説明では、解雇には少なくとも30日前の予告が必要で、予告しない(または30日に足りない)ときは、足りない日数分の平均賃金を「解雇予告手当」として払う必要があります(労働基準法第20条)。
つまり、スタッフへ伝えるタイミングは「30日前より後ろにはできない」「でも3か月以上前は早すぎる」という狭い範囲です。計算方法は飲食店の閉店「解雇予告手当」と退職金の考え方で詳しく整理しています。
貸主・譲渡先は「解約予告期間」から逆算するので先になりやすい
貸主への連絡時期は、契約書の解約予告期間で決まります。6か月なら最終営業日の6か月前、3か月なら3か月前に動き出す必要があります。スタッフへの告知が1.5〜2か月前なら、3か月の契約でも貸主・譲渡先のほうが先になります。
分かれ目は「2か月」です。予告期間が1〜2か月と短い契約のときだけ、スタッフが先(または同時)になります。飲食店の契約は3〜6か月が多いので、実際には貸主・譲渡先が先になるケースが大半だと考えてください。
ここは閉店スケジュール全体の土台なので、飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法|閉店前に確認を先に読んでおくと安心です。
大事なのは、正式な解約通知を出す前に「居抜きで譲れませんか」と相談すること。通知を出してしまうと、貸主は次の借り手を自分で探し始め、譲渡の話が通りにくくなります。
| 相手 | 伝える時期の目安 | 伝え方 |
|---|---|---|
| 貸主・管理会社 | 解約予告期間から逆算(相談は正式通知より前) | 対面または電話で相談 |
| 譲渡先・不動産会社 | 貸主への相談と同時期 | 対面・秘密保持のうえで |
| スタッフ | 最終営業日の1.5〜2か月前(法律上は最低30日前) | 個別に口頭+書面 |
| お客様・SNS | 2〜3週間前 | 店頭掲示+SNS+常連には直接 |
お客様・SNSが最後なのは変わらない
閉店の話は、お客様に伝えた瞬間に町全体に広がります。SNSや口コミサイトに書かれれば、もう取り消せません。すると次の3つが同時に起こります。
- 居抜きの買い手が逃げる:「閉店する店」と知られた場所は、買い手から値下げを求められやすくなります。居抜き(いぬき=厨房や内装を残したまま次の人に譲ること)は、落ち着いて交渉できる間だけ高く売れます。
- スタッフが噂で知る:本人に伝える前に広まると、不信感を持たれて一気に辞められます。
- 貸主との交渉カードを失う:こちらの事情が先に伝わると、原状回復(げんじょうかいふく=内装を元に戻す工事)の負担などで譲りにくくなります。
お客様への告知は、閉店日の2〜3週間前が目安です。早すぎると最後の1か月が暇になり、直前すぎると「挨拶したかった」という声が残ります。
告知文に入れる項目チェックリスト
- ☐ 最終営業日(日付と、その日のラストオーダー時刻)
- ☐ これまでのお礼(理由は詳しく書かなくてよい)
- ☐ 回数券・前売券・ギフト券の使用期限と、使えなくなる場合の対応
- ☐ 予約済みのお客様への個別連絡の予定
- ☐ 移転・再出店の予定があるかどうか(未定なら「未定」と書く)
- ☐ 同じ場所で別の店が続く場合の案内(居抜き譲渡したとき)
意外な「漏れルート」に注意
お客様より先に閉店が知られてしまう経路があります。求人サイトの掲載取り下げ、予約サイトの受付停止、Googleビジネスプロフィールの変更、仕入れ業者への発注減らしです。これらは告知の日まで動かさないか、動かすなら同じ日にまとめて動かしてください。業者への連絡順も含め、鍵を返す前に|飲食店の退去前チェックリストに退去までの流れをまとめています。
テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら
伝える順番がわからない場合は、弊社にご相談ください。
閉店の話は、スタッフにも常連さんにも同業の知り合いにも相談できません。誰にも相談できないことだからこそ、外のプロに話すことが役に立ちます。契約書の解約予告期間とスタッフの人数を見れば、「誰にいつ伝えるか」の順番はその場で組み立てられます。
大阪で飲食店の出店先をお探しの方、計画的な移転・閉店・居抜き売却をお考えの方は、株式会社不動産スペース(店舗市場)までお気軽にどうぞ。
お電話:06-6195-8209
よくある質問
Q. 解約予告が6か月なら、スタッフにも6か月前に言うべきですか?
A. 早すぎます。多くのスタッフが先に次の職場を決めて辞め、閉店日より前に店が回らなくなります。最終営業日の1.5〜2か月前を基本に考えてください。
Q. スタッフに言ったら辞められそうで怖いです。先に黙っていてもいいですか?
A. 法律上は少なくとも30日前の予告が必要です。黙っていると手当の支払いやトラブルにつながります。退職日までの条件や退職金を一緒に示して伝えるのが現実的です。
Q. 居抜きで譲渡が決まっています。お客様に伝えてもいいですか?
A. 契約が結ばれるまでは伏せるのが安全です。譲渡契約を結んだあとなら、「同じ場所で新しいお店が続きます」と伝えると引き継ぎもスムーズになります。
