
相続した実家の解体「アスベスト調査」は義務|費用の目安
結論を先にお伝えします。実家を解体するときは、建物の大きさに関係なく「アスベスト(石綿)が使われていないか」を調べる事前調査が法律で義務づけられています。そして解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上になる工事では、工事を始める前に国のシステムへ報告することまで義務です。報告をしなかったり、うその報告をした場合は30万円以下の罰金の対象になります。
「古い家だし、とりあえず更地にしてから考えよう」と解体業者に電話する方は多いのですが、ここを知らないまま契約すると、あとから「アスベストが出たので追加で○十万円です」と言われてもめることがあります。この記事では、解体の見積もりを取る前に所有者(相続人)側で確認しておきたいことを整理します。
アスベストの事前調査とは何か
アスベストは、昔の建材に混ぜられていた細い繊維です。吸い込むと数十年後に肺の病気を起こすおそれがあるため、解体やリフォームで建材を壊すときに飛び散らせないよう、法律(大気汚染防止法・石綿障害予防規則)で手順が決められています。
その第一歩が「事前調査」です。設計図書などの書面の確認と、現地での目視確認の両方を行い、必要に応じて建材を少し採って分析します。ここで押さえておきたいポイントは3つです。
- 規模の下限はありません。小さな物置の解体でも、壁に穴をあける工事でも、原則として調査の対象です。
- 調査できるのは資格を持った人だけです。2023年(令和5年)10月1日以降に着工する建築物の工事では、「建築物石綿含有建材調査者」などの講習を修了した人が調査することになっています。一戸建ての場合は「一戸建て等石綿含有建材調査者」でも可能です。
- アスベストが無かった場合も報告が必要です。「無し」という結果も報告しなければなりません。
報告が必要になる工事の規模
報告の義務があるのは元請業者(工事を請け負った会社)ですが、報告の対象かどうかは所有者も知っておくと安心です。
| 工事の種類 | 報告が必要になる規模 |
|---|---|
| 建築物の解体 | 解体する部分の床面積の合計が80平方メートル以上 |
| 建築物の改修・補修(リフォーム) | 請負代金の合計が100万円以上(税込) |
| 工作物(環境大臣が定めるもの)の解体・改修 | 請負代金の合計が100万円以上(税込) |
80平方メートルは約24坪です。判断の基準になるのは「解体する部分」の床面積の合計なので、家を丸ごと解体するなら延床面積がそのまま基準になります。一般的な木造2階建ての実家(延床30坪前後)なら、まず対象になると考えてよいでしょう。なお工作物(塀や煙突など)についても、2026年1月1日以降に着工する工事は資格者による事前調査が必要になりました。
解体までの流れ
設計図書・確認済証を探す
資格者による事前調査
必要なら分析調査
元請業者が着工前に報告
解体工事
①がなぜ大事かというと、アスベストを含む建材は2006年(平成18年)9月1日から製造・使用が原則禁止されたためです。着工日がこの日より後だと設計図書などの書面で確認できれば、現地での目視調査を省略できる扱いとされています。実家が平成18年より前の建物であれば、調査と分析の費用は最初から見積もりに入っているものとして考えておきましょう。
分析費用は1検体あたり2万〜5万円程度を目安として示している業者が多いものの、採取する場所の数や業者によって幅が大きい部分です。空き家の解体費用相場は?解体前の確認ポイント7つでご紹介した解体費用とは別に必要なお金だとご理解ください。
見積もりを取る前のチェックリスト
- ☐ 建築確認済証・設計図書・竣工図が家の中に残っていないか探した
- ☐ 建物が増築されていないか(古い部分が残っていないか)確認した
- ☐ 見積書に「アスベスト事前調査費」「分析費」「除去費」の項目があるか確認した
- ☐ 調査をする人が有資格者かどうかを業者に聞いた
- ☐ 事前調査の結果を書面でもらう約束をした
- ☐ 「アスベストが出たら実費を別途請求」という条件になっていないか確認した
事前調査の結果は、元請業者から所有者(発注者)へ書面で説明する義務があります。また工事現場にはA3以上の大きさで掲示され、記録は工事終了の日から3年間保存されます。「書面は出せません」という業者には注意が必要です。
大阪市の補助金は「解体」には使えません
ここは誤解されやすい点です。大阪市には「民間建築物吹付けアスベスト除去等補助制度」があり、含有調査は1建築物あたり上限25万円、除去工事等は費用の3分の1(戸建住宅は上限20万円)の補助があります。ただし対象は今後も継続して使っていく建物で、解体を予定している建築物は対象外とはっきり書かれています。調査や工事に着手する前の事前協議が必須で、申請の受付はその年度の11月30日までです。
つまり「実家を解体するためのアスベスト費用」には、この制度は使えません。解体そのものについては大阪市老朽住宅解体補助「最大170万円」に拡充 相続空き家の注意点でご紹介した別の制度を確認する流れになります。補助金は制度ごとに条件が違うので、着手前に必ず窓口で確認してください。
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よくある質問
Q. 古い家だし、どうせアスベストは出ると思うので調査は飛ばせませんか?
A. 飛ばせません。実際に含まれているかどうかとは別に、調査と(規模要件に当たる場合は)報告そのものが法律上の義務です。
Q. 調査や報告は、所有者である私がやらなければいけませんか?
A. 事前調査と報告を行うのは元請業者です。所有者は結果の書面を受け取り、内容を確認する立場になります。
Q. アスベストが見つかったら、解体費用はどれくらい上がりますか?
A. 建材の種類と量で大きく変わるため一概には言えません。見積もり段階で調査・除去を項目として明記してもらい、複数社で比べるのが確実です。
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