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「酒税一本化」と鳥貴族値上げ、10月の飲食店原価対策

飲食経営

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

10月1日、ビールの酒税は下がるのに「鳥貴族」はなぜ値上げ?

「ビールの税金が下がるって聞いたのに、うちの原価はむしろ上がりそう…」そんな違和感を持っている飲食店経営者の方もいるのではないでしょうか。結論から言うと、2026年10月1日は「お酒の税金の仕組みが変わる日」と「原材料費・人件費の上昇分を価格に転嫁する動きが重なる日」がたまたま同じタイミングに来ています。ビールの酒税は下がりますが、それだけでドリンク原価が下がると考えるのは早計です。

10月1日に変わること① ビール系飲料の酒税が「一本化」

財務省の資料によると、2026年10月1日からビール・発泡酒・新ジャンル(いわゆる第三のビール)の酒税が、350ミリリットル換算で一律54.25円に統一されます(財務省「酒税に関する資料」)。2020年10月から段階的に進められてきた改正の最終段階にあたります。

酒類の種類 現行の税率イメージ 2026年10月以降
ビール 54.25円より高い水準 54.25円(下がる)
発泡酒・新ジャンル 54.25円より低い水準 54.25円(上がる)
その他の発泡性酒類(チューハイ等) 350ml換算28円 350ml換算35円(上がる)

(出典:財務省「酒税に関する資料」)

つまり、ビールは値下がりする一方、発泡酒・新ジャンルやチューハイ系は税負担が増えます。居酒屋やバルなど酒類の比率が高いお店では、仕入れているお酒の構成によって原価への影響がプラスにもマイナスにもなる、という点をまず押さえておく必要があります。

10月1日に変わること② 大阪発「鳥貴族」が5年連続の値上げ

もう一つ、10月1日は大阪府東大阪市生まれの焼き鳥居酒屋チェーン「鳥貴族」が、全品均一価格を390円から410円へ引き上げる日でもあります(運営元エターナルホスピタリティグループ発表、2026年9月10日)。食べ放題・飲み放題の「トリキ晩餐会」は3,900円から4,100円へ、テイクアウト商品も410円に引き上げられます。国産の鶏肉や野菜といった原材料に加え、エネルギーや人件費の高騰を吸収するための改定で、同社は2022年以降5年連続の値上げになるとしています(共同通信、朝日新聞報道)。

酒税だけを見ればビールは値下げ方向ですが、鶏肉・野菜などの食材原価や人件費、光熱費の上昇分の方が大きければ、業界全体としては値上げ圧力の方が強い、というのが実態に近いといえそうです。「均一価格」というわかりやすさを売りにしてきた業態でも見直しを迫られていることは、同じように定番メニューの価格を長年据え置いてきたお店にとって参考になる動きです。

ドリンク原価の見直し、4つのステップ


仕入れ先の価格改定通知を確認

主要ドリンクの原価率を再計算

セット・均一価格メニューへの影響確認

必要な範囲で価格改定を検討

10月1日が近づくと、酒類卸業者から価格改定の案内が届き始めます。「まだ何も来ていない」という場合も、早めに問い合わせておくと慌てずに済みます。

ドリンクメニュー点検チェックリスト

  • ☐ ビール・発泡酒・チューハイなど、仕入れているお酒の税率変更の影響を確認したか
  • ☐ 主要ドリンクの原価率を、10月以降の仕入れ単価で再計算したか
  • ☐ 均一価格・飲み放題セットに酒類が含まれる場合、利益率への影響を試算したか
  • ☐ 同業他社の値上げ動向を踏まえ、自店の価格改定タイミングを検討したか

以前の記事「9月値上げ4923品目、大阪の飲食店に必要な「原価防衛」術」でもお伝えしたとおり、食材だけでなくドリンクも含めた原価全体をこまめに見直す習慣が、値上げラッシュが続く今の時代には欠かせません。「もう限界かもしれない」と感じる前に、小さな原価の変動を早めに拾い上げておくことが、結果的に閉店や大幅な価格改定を避けることにつながります。

原価を見直した先に ― 店舗そのものの見直しも選択肢に

ドリンクや食材の原価をどれだけ見直しても、家賃や立地との折り合いが悪ければ経営は苦しいままです。原価管理と合わせて、今の物件の家賃・坪数が今の商売に本当に合っているか、年に一度は棚卸ししてみることをおすすめします。もし合わないと感じた場合は、居抜きでの譲渡も含めた計画的な移転・閉店という選択肢もあります。

テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら

大阪での出店をご検討中の飲食店経営者様、原価や家賃の見直しから計画的な移転・閉店・居抜き売却を検討中の飲食店経営者様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。

TEL:06-6195-8209

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q1. ビールの酒税が下がるなら、居酒屋の原価は下がりますか?
A1. ビール単体では税負担が下がりますが、発泡酒・新ジャンルやチューハイ系は税負担が増えます。仕入れているお酒の構成によって影響は変わります。

Q2. うちも鳥貴族みたいに値上げした方がいいのでしょうか?
A2. 一概には言えません。まずは自店の原価率を再計算し、利益が出ているかどうかを確認したうえで判断することをおすすめします。

Q3. 酒類卸からまだ価格改定の連絡が来ていません。何もしなくて大丈夫ですか?
A3. 連絡を待つだけでなく、早めに卸業者へ問い合わせておくと、10月以降の仕入れ単価を早めに把握でき、メニュー改定の準備がしやすくなります。

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