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「代償分割」とは?実家を継ぐ人が払う代償金の決め方

相続・空家

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

実家を一人が引き継ぎ、ほかの相続人には現金(代償金)を払って分ける方法を「代償分割(だいしょうぶんかつ)」といいます。売らずに済む一方で、代償金の金額の決め方と遺産分割協議書の書き方を間違えると、あとで贈与税の問題になることがあります。

「実家に住み続けたいけれど、兄弟に何を払えばいいか分からない」「売りたくはないが、共有名義にするのも不安」。そんな相談の受け皿になるのが代償分割です。この記事では、仕組みと金額の決め方、払えないときの備えを、やさしく説明します。

代償分割とは?ほかの分け方との違い

遺産が実家しかない場合、分け方は大きく4つあります。

分け方中身向いている場合
現物分割実家を一人が取得し、ほかの人は何ももらわない他の相続人が納得している
換価分割売って、代金を分ける誰も住まない、住めない
代償分割一人が取得し、ほかの人に代償金を払う住み続けたい人がいて、払うお金の当てがある
共有全員の名義にするとりあえずの先送り(のちに揉めやすい)

換価分割は換価分割とは?相続した家をお金で分ける方法をやさしく解説【図解・FAQ付き】、共有の危うさは「数次相続」で空き家の共有者が増える前に知るべきことで説明しています。

代償金は、いくらにするのか

①
実家の価値を決める
→
②
各自の取り分を出す
→
③
差額が代償金になる

たとえば、実家が3,000万円と評価され、相続人が兄と妹の2人(取り分は法定相続分で半分ずつ。民法900条)で、ほかに財産がない場合です。兄が実家を取得すると、妹の取り分は1,500万円です。つまり、兄が妹に払う代償金は1,500万円になります。

ここで揉めやすいのが、「実家の価値を何円と見るか」です。主な物差しは次の3つです。

  • 相続税評価額(土地は路線価など、建物は固定資産税評価額)
  • 不動産会社の査定価格(いま売ったらいくらか)
  • 不動産鑑定士の鑑定評価額

私の見てきた範囲では、住み続けたい側は低めに、お金を受け取る側は高めに考えがちで、ここで意見が分かれます。どれを使うかは相続人全員で先に決め、協議書に根拠を書いておくことが大切です。査定書を2社分そろえて、平均を取る方法も話し合いに使いやすいです。

失敗しやすい3つのポイント

  • ☐ 協議書に「代償分割である」と書いていない(代償金が贈与とみなされるおそれ)
  • ☐ 代償金が、実家の価値から大きくかけ離れた金額になっている
  • ☐ 代償金の代わりに別の不動産を渡している(譲渡所得税がかかることがある)

税理士による解説(参考欄の相続ガイド)でも、代償分割である旨を書かないと贈与とみなされるリスクがあること、代償金が時価や評価額から大きく外れると贈与になりうることが挙げられています。協議書には「誰が・誰に・いくら・いつ・どう払うか」を必ず入れましょう。

相続税の計算では、代償分割をした場合、お金を払った人の課税価格は減り、受け取った人の課税価格は増えます。国税庁のタックスアンサーには、評価額と時価の差がある場合の計算例が載っています。申告が必要な方は、税理士か税務署に確認してください。

払えないときの備え

代償金は、まとまった現金が必要です。次の順で考えると整理しやすくなります。

①
自分の預貯金で払える額を出す
→
②
足りない分の調達先を探す
→
③
分割払いなら協議書に書く
  • 親が残した預貯金や生命保険金を代償金に回せないか、相続人どうしで話し合う
  • 金融機関に、借り入れができるか早めに相談する(実家を担保にできるかは、金融機関の判断です)
  • 分割払いにする場合は、回数・期限・遅れたときの扱いを協議書に書く

どうしても払えないなら、代償分割にこだわらず、空き家は「売る・貸す・解体」どれが正解?判断基準のように、売る道も並べて比べてください。話し合いがまとまらない場合は、遺産分割協議がまとまらない時、調停・審判への進み方も参考になります。協議の進め方の基本は遺産分割協議はいつまで?進め方と「もめないコツ」にあります。

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よくある質問

Q. 代償分割の代償金は、贈与税がかかりますか?
A. 遺産分割の一部として払う代償金は、原則として贈与税の対象ではありません。ただし、協議書に代償分割と書かない、金額が極端に違うといった場合は贈与とみなされるおそれがあります。

Q. 「実家は自分が継ぐけど、兄弟にあげるお金がない」ときはどうすればいい?
A. 預貯金・保険金の活用、金融機関への借り入れ相談、分割払いの合意が考えられます。難しければ、売って分ける換価分割も比べてください。

Q. 代償金の金額は、相続税評価額と査定額のどちらで決めるのですか?
A. 決まりはなく、相続人全員で合意した基準で決めます。大事なのは、どの基準かを協議書に書いておくことです。

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