
賃貸の人気設備、防犯がネットと同率1位|家主の備え
仲介会社321社に「今後、需要が高まると思われる設備」を聞いた調査で、1位は「インターネット環境」と「防犯設備」の同率でした(全国賃貸住宅新聞の独自調査、2026年10月19日掲載)。「強盗のニュースが続くけれど、うちのアパートは大丈夫かな。でも、お金をかけて家賃に返ってくるのか分からない」と感じている家主さんは多いのではないでしょうか。結論から言うと、いきなり大きな工事をする必要はありません。まず玄関の鍵・オートロック・インターホンの3つの現状を確かめることが、費用をかけずにできる第一歩です。
調査でわかったこと:防犯は「ネット」と並ぶ首位
全国賃貸住宅新聞は、全国の賃貸仲介会社を中心に321社へアンケートを行いました(調査期間:2026年8月20日〜9月6日)。「今後、需要が高まると思われる設備」の結果は次のとおりです。
| 順位 | 設備 | 補足 |
|---|---|---|
| 1位(同率) | インターネット環境 | 以前から人気の設備 |
| 1位(同率) | 防犯設備 | 今回ネットと並んだ |
| 4位 | 防災設備 | 初めてトップ10入り |
| 8位 | 省エネ設備 | 初めてトップ10入り |
(全国賃貸住宅新聞の独自調査による。同率1位が2つあるため、次の順位は3位になります。3位の設備や5位以下は有料記事で確認できず、ここでは確認できた分のみ掲載しています)
読むときの注意
この調査に答えたのは入居者本人ではなく仲介会社です。部屋探しの現場にいる人の「肌感覚」であり、すべての入居者の声そのものではありません。
同じ記事では、北海道釧路市の仲介会社の担当者が、「転勤者にとってオートロックは当たり前の設備になっている」「防犯設備が一切ない物件は選ばれなくなる可能性がある」と話しています。女性の一人暮らしでは、オートロック・電子錠・防犯カメラの要望が多いそうです。
数字で見る:集合住宅の強盗はどのくらいあるのか
不安をあおる必要はありませんが、実際の数字は知っておきたいところです。警察庁の統計では、2025年(令和7年)の侵入強盗は全国で349件(前年比2.2%減)でした。このうち住宅を狙ったものは146件で、前年より13.2%増えています。
| 侵入強盗が起きた場所(2025年) | 全体に占める割合 |
|---|---|
| 一戸建住宅 | 22.1% |
| 共同住宅(3階建以下) | 10.3% |
| 共同住宅(4階建以上) | 9.5% |
(警察庁の統計による。割合は侵入強盗349件全体に対するものです)
集合住宅は合わせて約2割です。件数が多いとは言えませんが、「報道で目にする機会が増え、入居者の心理に影響している」という点が、今回の調査結果とつながっています。数字の面では、過度に心配するのではなく、「選ばれる理由を一つ増やす」投資として考えるのが現実的です。
なお、ここで挙げた数字はすべて全国のものです。大阪府内の侵入強盗件数は今回、公式統計で確認できなかったため載せていません。大阪の物件で防犯が決め手になっているかは、地元の仲介会社に直接聞くのが確実です。設備の実物を見て比べたい方には、2026年11月26日・27日にインテックス大阪で開かれる「賃貸住宅フェア2026大阪」(全国賃貸住宅新聞社主催)もあります。
家主がまず確かめたい5つのポイント
高額な設備を入れる前に、次の5つを今の物件で確認してください。最初の3つが玄関まわり、残りの2つは建物全体の点検です。
- ☐ 玄関の鍵:古いタイプのままか。合鍵が何本出回っているか分からない状態になっていないか
- ☐ 建物の入口:オートロックはあるか。ない場合、後付けできる方法があるか
- ☐ インターホン:モニター付きか。音声だけのままではないか
- ☐ 共用部:照明が暗くないか。死角になる場所がないか
- ☐ 防災設備:非常用の照明や消火器が点検期限内か(今回、防災も初めてトップ10入りしました)
費用をかける前の進め方
設備は、入れた分だけ家賃が上がるとは限りません。次の順番で考えると、無駄な出費を減らせます。
現状を確認
仲介会社に聞く
小さく試す
募集条件に反映
- ① 上のチェックリストで、今の物件の状態を見る。
- ② 部屋探しの現場にいる仲介会社に、「内見で防犯について聞かれるか」「どの設備が決め手になっているか」を聞く。
- ③ 工事の少ない方法から試す。同じ記事の担当者は、既存の物件にも入れやすい電子錠を勧めているそうです。配線工事が不要なタイプもあるとされますが、ドアの形によって取り付けられない製品もあるため、必ず見積もりと適合を確認してください。
- ④ 設備を入れたら、募集図面に「電子錠」「モニター付きインターホン」などと書き、検索条件に出るようにする。
比べる基準は、設備費用と「空室が1か月長引いたときの家賃の損失」です。その物件が空室になりやすいかどうかで、答えが変わります。
オーナーが自分の管理会社に聞いておきたいこと
今回の調査は、部屋探しの現場にいる仲介会社の声です。つまり、入居者の募集に関わる管理会社なら、「入居者が何を求めているか」をすでに把握しているはずです。オーナーとして、次のことを聞いてみてください。
- ☐ 最近の内見で、防犯について聞かれることは増えていますか。
- ☐ 空室が長引いている部屋は、設備が理由ですか、それとも家賃ですか。
- ☐ 防犯・防災の設備を入れるとしたら、何から、いくらくらいかかりますか。複数の案を出してもらえますか。
具体的な数字を添えて答えてくれる管理会社なら、設備の相談を任せやすいと言えます。「見てみないと分かりません」で終わる場合は、管理会社との付き合い方を見直すきっかけになります。設備更新の優先順位の考え方は、「エアコン2027年問題」とは?賃貸オーナーの設備更新術もあわせてご覧ください。
親や親族から物件を相続したばかりの方は、古い設備がそのまま残っていることが少なくありません。何から手をつければよいか分からないときは、一人で抱え込まず、地域の事情に詳しい不動産会社に早めに相談してください。
管理会社選び・相続した物件のご相談はこちら
管理会社との契約内容の確認や、管理会社選び・見直しでお悩みのオーナー様はもちろん、ご実家や親族の家を相続したものの何から手をつければよいか分からないという方も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. オートロックがない古いアパートは、もう借り手がつかないのでしょうか?
A. 一概には言えません。ただ、設備なしの物件は選ばれにくくなるという仲介会社の声があります。家賃や立地とのバランスで考え、後付けしやすい電子錠などから検討するのが現実的です。
Q. 防犯設備を入れたら、家賃は上げられますか?
A. 設備だけで家賃を上げられるとは限りません。周辺の同じ条件の物件と比べて、空室期間が短くなるか、募集で選ばれやすくなるかを仲介会社に確認してから判断しましょう。
Q. 「お金をかけたのに空室が埋まらない」となるのが怖いのですが?
A. 費用をかける前に、仲介会社へ「決め手になっている設備」を聞いておけば、外れるリスクを減らせます。小さな工事から試すのも一つの方法です。
