
管理会社の処分歴は、1分で調べられます
2026年10月2日、国土交通省は不動産会社(宅地建物取引業者)の数が12年連続で増えて13万3,727業者になったと公表しました。同時に、行政指導は前年度より約3割増え、業務停止処分は2倍を超えています。「賃料がきちんと毎月入ってきてほしい。それ以上は望んでいない」と感じている家主さんにとって、これは選択肢が増えたという話だけでは終わりません。
発表された数字
国土交通省「令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果」(2026年10月2日公表)の主な数字は次の通りです。
| 項目 | 令和7年度 | 前年度からの変化 |
|---|---|---|
| 宅建業者数 | 133,727業者 | +1,436業者(+1.1%・12年連続増) |
| 監督処分 合計 | 163件 | +16件(+10.9%) |
| うち 業務停止 | 36件 | +20件(+125.0%) |
| うち 指示 | 42件 | +10件(+31.3%) |
| うち 免許取消 | 85件 | −14件(−14.1%) |
| 行政指導 | 768件 | +176件(+29.7%) |
(いずれも国土交通省調べ。業者数は令和8年3月末現在。内訳は大臣免許3,238業者、知事免許130,489業者)
「監督処分」と「行政指導」の違い
言葉が難しいので、かみ砕いて説明します。
- 監督処分…国や都道府県が法律に基づいて出す、重い処分です。重い順に「免許取消」「業務停止」「指示」の3段階があります。
- 行政指導…処分の前段階にあたる注意・勧告です。処分には至らないものの、直すように言われた、という状態です。
今回の発表では、この両方が増えました。つまり「会社の数は過去最多だが、きちんとしていない会社も目につくようになった」と読めます。
なぜ家主にとって他人事ではないのか
今回の発表は不動産会社向けのニュースですが、オーナーの皆様にとっても他人事ではありません。特に注意したいのは、業務停止処分が前年度の2倍を超えたという点です。
業務停止処分を受けると、その期間は宅建業としての仲介業務ができません。つまり、空室の募集や新しい入居者との契約が、その会社では止まってしまいます。ご自分の物件を任せている会社がその立場になれば、空室期間が長引き、賃料収入が直接削られます。
テナントや入居者が退去する理由は、人件費の高騰や物価高といった業界全体の事情であることも多く、物件側の問題とは限りません。ですが、退去から次の契約までの期間が長引く理由は、物件そのものではなく、任せている会社の体制にあることがあります。ここは家主側で点検できる部分です。
4つの手順で点検する
免許番号を見る
処分歴を調べる
契約書を読み直す
疑問は書面で聞く
①免許番号を見る
不動産会社の免許番号は「大阪府知事(3)第○○○○○号」のように書かれています。このカッコの中の数字は、免許を更新した回数です。免許の有効期間は5年なので、(3)なら10年以上、(5)なら20年以上営業している会社、という目安になります。名刺や広告、ホームページの会社概要に必ず載っています。
②処分歴を調べる
国土交通省はネガティブ情報等検索サイトで、過去に行政処分を受けた業者を公開しています。会社名で検索すれば、処分の年月日・種類・違反行為の概要まで確認できます。無料で、誰でも使えます。
③契約書を読み直す
管理を任せる契約書(管理受託契約書)を、もう一度開いてみてください。管理の範囲、報酬の割合、解約の条件、どこまで報告してもらえるのかが書かれています。何年も前に結んだままで、中身を覚えていないというケースは珍しくありません。
④疑問は書面で聞く
気になることは、口頭ではなくメールなど文字で質問してください。記録が残り、後から確認できます。きちんとした会社であれば、書面での質問を嫌がることはありません。
点検チェックリスト
- ☐ 管理会社の免許番号を手元で確認できる
- ☐ 「ネガティブ情報等検索サイト」で処分歴を調べた
- ☐ 賃貸住宅管理業の登録番号がある(管理戸数200戸以上の会社には登録が義務づけられています)
- ☐ 毎月の送金明細に、家賃・共益費・手数料の内訳が書かれている
- ☐ 空室の募集状況を、月1回以上報告してもらえている
- ☐ 修繕や原状回復の見積りを、複数社で比べてもらえている
会社の規模が大きいほど手厚い、とは限りません。大手は労働時間の管理や休日の確保が進んでいる分、担当者1人が動ける時間に限りがあります。一方で小規模な会社は、経営者とオーナーが同世代で、双方ともIT化に追いついていないこともあります。規模ではなく、上のチェックリストに答えられるかどうかで見るのが確実です。
管理会社の体制そのものについては、大手88%増・小規模39%、大阪家主が管理会社を点検すべき理由でも別の角度から取り上げています。また、登録制度の側から点検する方法は賃貸住宅管理業の登録更新2026、大阪オーナーの点検法をご覧ください。
相続で物件を引き継いだばかりの方へ
ご両親や親族から急に物件を引き継いだ方の場合、「管理会社の名前は分かるけれど、契約内容はまったく知らない」という状態からのスタートになります。何から手をつければよいか分からないのは当然です。まずは免許番号の確認と、管理受託契約書を探すこと、この2つからで十分です。一人で抱え込まず、地域の事情に詳しい不動産会社に早めに相談してください。
管理会社選び・相続した物件のご相談はこちら
管理会社との契約内容の確認や管理会社選び・見直しでお悩みのオーナー様はもちろん、ご実家や親族の家を相続したものの何から手をつければよいか分からないという方も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。大阪市を拠点に、賃貸経営と店舗テナントの両面から現実的なご提案をいたします。
TEL:06-6195-8209
まとめ
不動産会社の数は過去最多、しかし行政指導は約3割増、業務停止処分は2倍超。選択肢が増えた分、選ぶ目が必要になったということです。免許番号と処分歴の確認は、どちらも数分でできます。賃料が途切れないための点検として、年に一度は見ておく価値があります。
よくある質問
Q. 管理会社を変えたいけど、入居者に迷惑がかかるんじゃないかと不安です
A. 家賃の振込先や連絡先が変わるため、事前の通知は必要です。ただし入居者との賃貸借契約そのものは続きますので、契約が白紙に戻ることはありません。
Q. 行政処分を受けた会社に任せていたら、すぐ変えるべきですか?
A. 処分の内容と時期によります。何年も前の軽い指示処分と、直近の業務停止ではまったく意味が違います。まず内容を確認してから判断してください。
Q. 免許番号のカッコの数字が小さい会社は、信用できないということですか?
A. いいえ。新しく独立した会社は数字が小さくなります。営業年数の目安にはなりますが、それだけで良し悪しは決まりません。
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