
新築マンション「短期転売」に課税強化?都心6区12.2%の衝撃
「今のうちに売っておいた方がいいのでは…」——そう心配になった方もいるかもしれません。国土交通省が2026年8月28日、来年度(令和9年度)の税制改正要望を公表し、新築マンションを短期間で転売する取引への課税強化を検討する方針を打ち出しました。ただし現時点ではまだ「検討をお願いします」という要望段階で、税率や対象は何も決まっていません。
何が起きたのか
国交省の要望文はこう書かれています。「都心の大規模マンションを中心とした近年の新築マンション価格の高騰に対応するため、実需に基づかない投機的取引を抑制するための方策について、必要な検討を行い、所要の措置を講じる」(国土交通省調べ)。税金の種類も税率も具体的な条件も書かれていない、いわば「検討をお願いします」というレベルの要望です。
この方向性は今回いきなり出てきたものではなく、2025年12月の与党税制改正大綱にすでに「実態把握を続ける」という形で盛り込まれていました。今回はその続報にあたり、話が一段階進んだ形です。
数字で見る「短期転売」の広がり
国交省が要望に添えた調査(保存登記から1年以内に転売された物件の割合)は次のとおりです。
| エリア | 2024年1〜6月 | 2018〜2022年の最大値 |
|---|---|---|
| 東京圏 | 6.3% | 5.0% |
| 東京23区 | 9.3% | 8.0% |
| 都心6区 | 12.2% | 4.6% |
(国土交通省「令和9年度国土交通省税制改正要望事項」による)
都心6区は過去の最大値の約2.7倍まで急増しており、新築マンション8戸に1戸が1年以内に転売されている計算です。大阪でも同様の傾向は無縁ではなく、大阪市の新築マンション短期転売率は14%に迫る水準まで上昇しているという民間調査もあります(マンションリサーチ「福嶋総研」調べ)。東京ほどではないにせよ、「買ってすぐ売る」取引が増えているのは大阪も同じ方向です。
今の制度は「1月1日基準」がポイント
不動産を売ったときの税金(譲渡所得税)は、所有期間によって税率が大きく変わります。ここで「自分は5年持っているから大丈夫」と単純に考えると失敗しやすいポイントがあります。判定基準は「売った日」ではなく、譲渡した年の1月1日時点で5年を超えているかどうかだからです。
| 区分 | 所有期間の判定 | 税率(合計) |
|---|---|---|
| 短期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日で5年以下 | 39.63% |
| 長期譲渡所得 | 譲渡した年の1月1日で5年超 | 20.315% |
(租税特別措置法第31条・第32条、国税庁タックスアンサーによる)
すでに短期は長期のほぼ2倍の税率です。それでも短期売買が増えていることが、今回の要望の出発点になっています。
焦って動く必要はない、でも知っておきたいこと
8月末:
省庁が要望提出
秋〜冬:
与党税調で議論
12月中旬:
大綱で方向性決定
通常国会:
法律成立
施行
(対象・時期未定)
税制改正は、通常は施行日以降の譲渡に適用され、過去に遡って重く課税されることは一般的ではありません。「制度が変わるまで様子見」と決めて売却の検討自体を止めてしまうより、いまの制度で成り立つかどうかを基準に考えるのが安全です。
確認したいことチェックリスト
- ☐ 保有物件の「譲渡した年の1月1日」時点の所有期間を一覧にしたか
- ☐ 短期売却の予定がある場合、今の税率(39.63%)で成算が合うか確認したか
- ☐ 個人保有か法人保有かで、想定される課税ルールが異なることを理解しているか
- ☐ 年末の与党税制改正大綱の発表時期(例年12月中旬)をカレンダーに入れたか
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よくある質問
Q1. うちのマンション、もう課税が重くなったということですか?
A. いいえ、まだ何も決まっていません。国交省が「検討してほしい」と要望を出した段階で、税率や対象は年末の与党税制改正大綱を待つ必要があります。
Q2. 中古マンションや、5年以上前から持っている物件も対象になりますか?
A. 要望の対象は「新築マンションの短期売買」とされており、現時点では中古や長期保有物件への影響は明言されていません。今後の制度設計次第です。
Q3. 実需で買って自分で住む場合も対象になるのでしょうか?
A. 要望は「実需に基づかない投機的取引」の抑制を目的としており、自分で住む、または長期保有で賃貸に回す取得は趣旨の対象外と考えられます。
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参考
- 令和9年度税制改正|国土交通省
- 新築マンションの「短期売買」に課税強化?国交省が令和9年度税制改正要望を公表|税理士法人小山・ミカタパートナーズ
- 大阪市の中古マンション市場はなぜここまで上昇したのか~東京23区との比較で見えてきた構造的特徴|健美家
- 短期譲渡所得の税額の計算(No.3211)|国税庁タックスアンサー
※本記事の税制改正に関する内容は2026年8月28日時点の要望段階の情報であり、確定した制度ではありません。最新情報は国税庁・国土交通省の発表でご確認ください。
