
大阪の最低賃金1231円に「飲食店の採算ライン」見直し方
大阪府の最低賃金、2026年10月から1,231円に
大阪府の最低賃金(会社が働く人に払わなければいけない、時給の一番低いライン)は、2026年10月1日から現在の1,177円から54円上がって1,231円になります(大阪労働局調べ)。率にして4.59%の引き上げで、6年連続の値上げです。人件費の割合が大きい飲食店にとっては、値上げやシフトの見直し、場合によっては「この店を続けるかどうか」まで考え直す、大きなきっかけになりそうです。
何が、いつから変わるのか
2026年8月5日、大阪府最低賃金専門部会がこの引き上げを答申し、8月7日には正式な会議で決定が伝えられました。異議申し立てなどの手続きを経て、10月1日から適用される見通しです(大阪労働局調べ)。大阪府は全国でもっとも引き上げ幅が大きい「Aランク」に分類されており、上げ幅54円は、過去最大だった前年度の63円に次ぐ、2番目の大きさです。日本経済新聞も同様の内容を報じています。
近畿の他府県と比べると、大阪の水準の高さがよく分かります。
| 都道府県 | 2026年度の最低賃金 | 引き上げ額 |
|---|---|---|
| 大阪府 | 1,231円 | +54円 |
| 京都府 | 1,180円 | +58円 |
| 兵庫県 | 1,172円 | +56円 |
| 和歌山県 | 1,101円 | +56円 |
(大阪労働局・各府県労働局の公表資料をもとに作成)
なぜ飲食店に大きく響くのか
最低賃金の近くで働いている人は、パートやアルバイトの女性が中心で、なかでも宿泊業・飲食サービス業は特に影響を受けやすい業種として名指しされています(中央最低賃金審議会)。試しに計算してみましょう。アルバイトの合計勤務時間が月500時間のお店なら、54円の引き上げだけで人件費は月2万7,000円、年間では32万4,000円増える計算になります。すでに食品の値上げや特定技能人材の受け入れ停止で経営が苦しくなっているお店にとっては、決して小さな金額ではありません。
採算ラインを見直す3つの視点
- 原価と客単価のバランス:人件費が上がる分を、値上げや原価の見直しでどこまで吸収できるか計算しておく
- シフトの組み方:忙しい時間に人を厚くし、暇な時間を減らすなど、無駄のない配置に変える
- 国の助成金の活用:生産性を上げる設備投資とあわせて賃上げをする場合、「業務改善助成金」(最大450万円、事業場内最低賃金が1,050円以上なら助成率4分の3)などが使える場合があります(厚生労働省調べ)
それでも厳しいなら、早めの決断も選択肢に
見直しをしても採算が合わないと分かった場合、無理に続けるよりも、早めに閉店や移転を決めて、居抜き(内装や設備をそのまま次のテナントに引き継ぐこと)で売却するという道もあります。ずるずると赤字を続けるより、体力があるうちに次の一歩を選んだほうが、結果的に負担が軽くなるケースは少なくありません。すでに町中華の倒産が15年ぶりの多さになっているというデータもあり、後継者がいない、体力が続かないといった事情での閉店も増えています。国の補助金を使った戦略的閉店という選択肢も、あわせて検討してみてください。
テナント探し・戦略的な閉店のご相談はこちら
大阪での出店をご検討中の飲食店経営者様、人件費の上昇を受けて採算や家賃の見直しから計画的な移転・閉店・居抜き売却を検討中の飲食店経営者様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
株式会社不動産スペース
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 大阪府の最低賃金はいつから1,231円になりますか?
A. 2026年10月1日から適用される見通しです。給料の支払日ではなく、実際に働いた日で判断されるので注意が必要です。
Q. アルバイトだけでなく正社員にも関係ありますか?
A. はい。最低賃金は雇用形態にかかわらず、すべての労働者に適用されます。月給制の場合は時給に換算して確認する必要があります。
Q. 人件費の上昇に使える助成金はありますか?
A. 「業務改善助成金」など、賃上げと設備投資をあわせて行う事業者向けの制度があります。詳しくは厚生労働省や社会保険労務士にご確認ください。
関連記事
- 月給25万円の正社員 vs 時給1,700円のアルバイト、会社の本当のコストはどっちが高い?
- 食品値上げ「2311品目」前年8割増、原価高騰と飲食店の閉店判断
- 飲食店の『戦略的閉店』に国補助金、4つの枠を解説
- 町中華の倒産15年ぶり最多「後継者難」からみる閉店の判断
参考
- 大阪府の最低賃金 2026年10月1日から1,231円へ|寺田税理士・社会保険労務士事務所
- 大阪府内の最低賃金1231円 54円上げ、過去2番目の引き上げ額|日本経済新聞
- 令和8年度 最低賃金 大阪1,231円で確定|大阪綜合労務管理事務所
※最低賃金の正式な発効日・金額は、異議申し立て手続きを経て確定します。最新情報は大阪労働局の公式発表をご確認ください。
