
大阪の新築木造ハイツ、実は申込減少中の理由
大阪市内の利回りは、想像以上に下がっている
大阪市内で利回り6〜7%の物件と一口に言っても、人気には差が出てきているというのが弊社の実感です。新築の木造ハイツは、利回りの数字こそ高いものの、今の金利では頭金なしだと赤字になり、手出し(自己資金)を用意できる投資家しか参加できないため、申込は伸び悩んでいます。一方で、築10年以上でも立地が良く、家賃を今の相場に上げる余地が残っている「バリューアップ物件」には、申込が集中しています。今回は、新築木造ハイツを「今の金利」で購入した場合のキャッシュフローを試算し、なぜ人気に差が出ているのかを見ていきます。
弊社の日々の営業の中でも、大阪市内で好立地の掘り出し物が出ると、あっという間に複数の申込が入り、すぐに完売してしまいます。一方で、通常出てくる物件の利回りは、すでに5%を下回るものが増えてきました。新築の木造ハイツについては、後述するとおり、利回りの数字だけを見れば6〜7%台と高いのですが、今の金利では参加できる投資家が限られており、申込は伸び悩んでいるというのが実感です。
公益社団法人大阪府不動産鑑定士協会の調査でも、都心部の利回り低下傾向は裏付けられています。大阪の都心部(梅田・本町・心斎橋など)の住宅(レジデンス)の期待利回りは3%台まで下がっており、梅田では3.59%と過去最低を更新しました(大阪府不動産鑑定士協会調べ、2026年1月時点調査)。同協会も「大阪市内中心部の取引が減少しており、市内周辺部や郊外へ拡大の傾向が見られる」と分析しています(大阪府不動産鑑定士協会調べ)。都心で利回りが取れなくなった投資家が、周辺エリアに流れてきているというのが実態です。
5,000万円では中古マンション1室、1.5億円台では新築ハイツ
今、大阪市内で不動産投資をしようとすると、予算によって選べる物件が大きく変わります。5,000万円の予算では、中古の区分マンション1室が精一杯というのが実感です。一方、1.5億円〜2.5億円の予算があれば、生野区や城東区の鴫野、東淀川区の上新庄といった、大阪市内でも2〜3等立地とされるエリアで、6〜9戸程度の新築木造アパート(ハイツ)を購入することができます。こうした立地の新築木造ハイツは、表面利回り6〜7%程度が中心的な水準というのが弊社の実感ですが、後述するとおり、この利回りの高さがそのまま人気にはつながっていません。
フルローンは、もう成立しにくい
以前は「頭金なしのフルローンで、高利回りの物件を買う」という投資スタイルが一般的でした。しかし今は、金融機関が頭金として物件価格の1〜2割程度の自己資金を求めるケースが増えています(不動産投資メディア調べ)。物件価格の上昇で利回りが下がっている分、無理のない返済計画かどうかを、金融機関がよりシビアに見るようになったためです。
シミュレーション:1.8億円・利回り6.5%・新築木造ハイツ8戸の場合
具体的に試算してみます。生野区や鴫野、上新庄など大阪市内の2〜3等立地に、8戸の新築木造ハイツが1億8,000万円、表面利回り6.5%(6〜7%の中心的な水準)で売り出されているとします。年間の家賃収入は1,170万円(月97.5万円)です。
ここから、管理費や固定資産税、修繕積立、空室のロスなどの運営費を、家賃収入の20%程度と仮定すると(一般的な目安)、実質的な収益(NOI、経費を引いた後の実際の儲け)は月78万円になります。
金利は、現在のアパートローン変動金利の中心的な水準である年2.5%を前提にしました。融資期間は、木造の法定耐用年数(22年)を基準に、22年で試算します。劣化対策等級などの条件を満たせば30年程度まで融資期間を延ばしてくれる金融機関もありますが、ここでは標準的な22年で計算します。
| 頭金の割合 | 自己資金 | 借入額 | 毎月の返済額 | 毎月の収支(NOI-返済額) |
|---|---|---|---|---|
| 0%(フルローン) | 0円 | 1億8,000万円 | 約887,000円 | 約-107,000円 |
| 10% | 1,800万円 | 1億6,200万円 | 約798,000円 | 約-18,000円 |
| 20% | 3,600万円 | 1億4,400万円 | 約710,000円 | 約+70,000円 |
(表面利回り6.5%、運営費率20%、金利年2.5%、融資期間22年という条件を仮定した試算)
なぜ新築木造ハイツは人気が伸び悩んでいるのか
この試算からわかるのは、融資期間22年では、利回り6.5%の物件でも、頭金なしのフルローンでは毎月約107,000円の赤字になるということです。頭金1割でもまだ月1.8万円ほどの赤字が残り、頭金2割(3,600万円)を入れて、ようやく毎月7万円ほどの黒字になる計算です。利回りが7%に近ければ、頭金1割程度でも黒字化する可能性がありますが、6%台前半ではフルローンはもちろん、頭金1割でも赤字が残ります。
つまり、利回りの数字こそ高いものの、実際に収支をプラスにするには3,600万円前後の自己資金を用意できる投資家でなければ参加しにくいということです。以前のようにフルローンで手軽に始められる物件ではなくなったため、申込そのものが以前より減っていると感じている、というのが弊社の実感です。
一方、5,000万円の中古区分マンション1室を、同じ頭金2割・金利2.5%で試算する場合、区分マンションはRC造が中心で融資期間30年を組みやすいことから、利回り5%でも毎月約8,600円の黒字になります。数字だけを見れば新築木造ハイツより手堅く見えますが、区分マンション1室への投資は部屋がひとつしかないため、入居者が退去すればその瞬間に家賃収入がゼロになる空室リスクを抱えています。8戸の新築木造ハイツであれば、仮に1〜2戸が空室になっても残りの部屋の家賃収入でカバーできますが、区分マンション1室にはその分散効果がありません。「黒字か赤字か」だけでなく、空室が出たときの影響の大きさも、物件タイプによって大きく異なるのが、今の大阪市内の実情です。
もうひとつの人気パターン:築10年超・好立地の「バリューアップ物件」
こうした新築木造ハイツに対して、大阪市内で今、申込が集中しているのは、築10年以上で立地の良いエリアにある「バリューアップ物件」だというのが弊社の実感です。こうした物件の特徴は、家賃が購入当時の相場のまま据え置かれているケースが多いことです。周辺の家賃相場はこの10年で上がっているのに、入居者の入れ替わりが少ない物件では、家賃が当時のまま変わっていないことがあります。
このタイプの物件には、2つの魅力があります。ひとつは、今の家賃のままでも、購入価格に対する表面利回りがすでに一定水準確保できていること。もうひとつは、退去のタイミングで家賃を今の相場に見直す「バリューアップ」によって、利回りをさらに引き上げられる余地が残っていることです。
実際、10年ほど前にこうした好立地の物件を購入したオーナーの中には、購入時よりも高い価格で売却できたうえ、保有していた期間の家賃収入も含めてプラス収支になっているケースが見られます(弊社実感)。立地の良さが長期的な資産価値を支え、家賃を適正化する余地が新しい買い手にとっての魅力になっている、という好循環が生まれているといえます。
物件価格や現在の家賃と相場のズレなど、具体的な条件がわかれば、この記事と同じ形式でキャッシュフローの試算もできますので、気になる物件があればお気軽にご相談ください。
利回りの高さだけでは物件は選ばれない時代に
今の金利環境では、新築木造ハイツのように表面利回りが6〜7%と高くても、頭金を用意できなければ収支が赤字になりやすいため、参加できる投資家が限られ、申込は伸び悩む傾向にあります。一方、築10年超で家賃の見直し余地がある好立地物件には、申込が集中しています。利回りの数字だけで判断するのではなく、頭金を含めた資金計画が成立するか、家賃を見直す余地や将来の出口(売却)まで見据えられる立地かどうかを、あわせて確認することが欠かせません。
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築10年超・好立地のバリューアップ物件や、新築木造ハイツの資金計画のキャッシュフロー試算をご希望のサラリーマン投資家様は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
株式会社不動産スペース
TEL:06-6195-8209
よくある質問
Q. 大阪市内で今、人気の物件はどんな物件ですか?
A. 弊社の実感では、築10年以上でも立地が良く、家賃を今の相場に見直す余地が残っている物件に申込が集中しています。新築木造ハイツは利回りの数字こそ6〜7%台と高いものの、頭金が必要なため参加できる投資家が限られ、申込は伸び悩んでいます。
Q. フルローンで不動産投資はできませんか?
A. 完全に不可能ではありませんが、金融機関が頭金を求めるケースが増えています。今回の試算では、利回り6〜7%の新築木造ハイツでも、融資期間22年ではフルローンだと赤字になりやすく、頭金2割程度を入れて初めて黒字化する計算になりました。これが、新築木造ハイツの申込が伸び悩んでいる背景でもあります。
Q. 頭金はどれくらい用意すればよいですか?
A. 目安として物件価格の1〜2割程度を求められるケースが多いとされています(不動産投資メディア調べ)。金融機関や物件、借主の属性によって条件は異なるため、複数の金融機関に確認することをおすすめします。
