
大阪の家賃上昇駅、共通点は「取り残されたエリア」だった|値上げできる物件の見分け方
家賃上昇駅で何が起きているか
前回ご紹介した大阪の家賃上昇駅ランキング(1位緑橋127.4%、2位あびこ121.8%など、大東建託パートナーズ調べ)を掘り下げると、上位の駅には「これまで大きな開発が手薄だったエリアに、ようやく動きが出てきた」という共通点が見えてきました。一方で、同じ大阪市内でも家賃がなかなか上がらない物件があります。今回はその違いを、開発動向と建築コストの両面から掘り下げます。
- あびこ駅:2026年4月25日、駅前に「イオンタウンあびこ駅前」が全18店舗でグランドオープン。新生ダイエー1号店を核に、これまで商業施設が手薄だった駅前が一気ににぎわいのある場所に変わりました(イオンタウン、複数の地域メディア報道)。
- 荒本駅:旧イオン東大阪店の跡地に、大阪モノレール延伸の新駅ができる計画が進んでいます。当初2029年開業予定でしたが、地盤の想定外の軟弱さや資材高騰・人件費上昇により2033年へと延期が発表されました(日本経済新聞、2024年報道)。開業はまだ先ですが、駅ができる前提で周辺の期待値が先に上がっている状態です。
- 鴫野駅(城東区):2026年の地価公示では、城東区の住宅地が前年比8.9%、隣接する東成区(緑橋・玉造の最寄り区)が8.4%上昇しました。大阪市中心部の地価上昇と供給不足が、周辺の区に波及している構図です。
一方、緑橋駅の上昇については、2025年大阪・関西万博によるインフラ整備効果や、中央線沿線への注目度上昇が要因として指摘されています(ねとらぼリサーチ、大東建託パートナーズ調べ)。玉造駅も駅周辺の商業施設は2014年のJR大阪環状線改造プロジェクトで一足先に整備が進んでおり、駅ごとに上昇の背景は少しずつ異なります。共通しているのは、「これまで手薄だった場所に、後から光があたっている」という流れです。
新築の家賃が上がる本当の理由は「建築費」
大阪市内の賃貸マンション供給を大きく担っているのが、ワンルームマンションを専門に開発・分譲する会社です。中でもプレサンスコーポレーションは、近畿圏で16年連続供給戸数1位という圧倒的な存在感を持ち、2025年は全国でも首位となる4,524戸を供給しました(プレサンスコーポレーション発表、2026年)。
こうした会社は、大阪市の中心部より土地の値段が安いエリアで用地を取得します。ところが、建物を建てる費用(建築費)はこの10年で大きく上がっています。集合住宅(鉄筋コンクリート造)の建築費指数は、2015年を100とすると2026年2月時点で143.2まで上昇しました(建設物価調査会調べ)。つまり、土地が多少安くても、建築費の上昇分がそれを打ち消してしまい、新築の家賃はどうしても高くなるのです。周辺の中古物件の家賃も、この「新築の高さ」に引っ張られて底上げされていきます。
| 駅 | 上昇率 | 主な背景 |
|---|---|---|
| 緑橋 | 127.4% | 万博インフラ効果、中央線沿線人気 |
| あびこ | 121.8% | 駅前商業施設の新規開業(2026年4月) |
| 荒本 | 117.6% | モノレール延伸新駅計画(開業前の期待先行) |
| 鴫野(城東区) | 116.6% | 中心部からの地価上昇の波及(城東区+8.9%) |
値上げできる物件、できない物件の分かれ目
ただし、大阪市内なら何でも家賃が上がるわけではありません。バブル期(1980年代後半~90年代初頭)に賃貸マンションが集中して建てられたエリアでは、今も似たような築古物件が周辺に数多く残っています。1棟だけ家賃を上げても、同じ条件・同じ価格帯の物件が周りにたくさんあるため、入居希望者がそちらに流れてしまい、空室が長引くリスクがあります。
築15年以内で家賃6万円以上の物件は値上げの余地があるイメージがある一方、築30年前後・家賃3万~4万円台の物件は値上げが難しい傾向があるといわれます。この違いを裏付ける公的な統計は今回確認できませんでしたが、家賃を見直す際は、自分の物件の築年数や家賃帯だけでなく、「今、周辺にどれだけ似た条件の空き部屋があるか」を必ず確認することをおすすめします。
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よくある質問
Q. 大阪市内なら、どこの物件でも家賃を上げられますか?
A. いいえ。周辺に似た条件の築古物件が多いエリアでは、値上げすると空室が長引くリスクがあります。
Q. 新築の家賃はなぜ上がり続けているのですか?
A. 建築費がこの10年で約4割上昇しており(建設物価調査会調べ)、土地代が安くても新築価格・家賃を押し上げているためです。
Q. 自分の物件が値上げできるかどうか、どう見分ければいいですか?
A. 築年数・現在の家賃水準に加えて、周辺に競合となる似た条件の空室がどれくらいあるかを確認することが重要です。
参考
- 株式会社プレサンスコーポレーション 2025年マンション供給戸数で全国首位|プレサンス(PR TIMES)
- 『建設物価 建築費指数』2026年1月分の指数データを公表|建設物価調査会
- 大阪モノレール延伸、29年→33年 資材高騰で建設費8割増|日本経済新聞
- イオンタウンあびこ駅前|イオンタウン公式
- 【大阪府】単身者向け「家賃相場が上昇した駅」ランキングTOP10!第1位は「緑橋」【2026年最新調査結果】|ねとらぼリサーチ
※ 2026年の地価公示(城東区+8.9%、東成区+8.4%)は、国土交通省発表データを集計した不動産デベロッパー系メディアの記事を参照しています。正確な数値は国土交通省の地価公示データを直接ご確認ください。築年数・家賃帯別の値上げ実施率については、現時点で該当する公的統計を確認できていません。
