
宅建業者12年連続増、業務停止は2.25倍に!家主の点検
不動産会社は12年連続で増えて13万3,727業者。それでも「業務停止」は2.25倍に
結論を先にお伝えします。2026年10月2日、国土交通省が令和7年度の宅地建物取引業法の施行状況調査を公表しました。不動産会社の数は12年連続で増えて13万3,727業者になった一方、業務停止処分は16件から36件へ2.25倍、勧告などの行政指導は592件から768件へ29.7%増えています(国土交通省、2026年10月2日公表)。「管理のことで、うちは特に困っていないんです」——そう感じている家主さんは多いのではないでしょうか。ただ、任せている会社が処分を受けると、止まるのは会社の業務ではなくあなたの家賃です。
10月3日にお伝えした管理会社の処分歴は、1分で調べられますの続報として、今回は「処分されたら何が起きるのか」を整理します。
公表された数字
| 項目 | 令和6年度(2025年3月末) | 令和7年度(2026年3月末) |
|---|---|---|
| 宅地建物取引業者数 | 132,291業者 | 133,727業者 |
| うち大臣免許 | 3,158業者 | 3,238業者 |
| うち知事免許 | 129,133業者 | 130,489業者 |
| 免許取消 | 99件 | 85件 |
| 業務停止 | 16件 | 36件 |
| 指示 | 32件 | 42件 |
| 監督処分の合計 | 147件 | 163件 |
| 行政指導(勧告など) | 592件 | 768件 |
(出典:国土交通省「令和7年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」2026年10月2日公表、および「令和6年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」2025年10月3日公表)
まず押さえておきたいのは、業者数の内訳です。13万3,727業者のうち13万489業者、全体の約97.6%が知事免許です。知事免許は、事務所が1つの都道府県の中だけにある会社に出される免許のこと。つまり不動産業界の大半は、地元に根を張った会社でできています。選べる相手が増えているのは、家主にとって悪い話ではありません。
ただし、処分と指導の件数も増えました。特に業務停止が1年で2.25倍です。件数自体は13万業者のうち36件ですから、割合としてはごくわずかです。それでも、自分が任せている1社がその36件に入るかどうかは、確率の話ではなく個別の話です。
「業務停止」で止まるのは、あなたの募集です
ここが一番お伝えしたいところです。宅地建物取引業の業務停止処分は、その会社が宅建業として行う仕事を一定期間止める処分です。止まる範囲は処分の内容で決まりますが、一般には新しい媒介契約(入居者を探す仲介の契約)や広告ができなくなります。
賃貸経営に置き換えると
- 空室が出ても、募集の広告を出せない
- 内見の案内や契約の手続きが進まない
- その間、家賃はゼロのまま
修繕や家賃の集金といった管理の仕事は、宅建業の免許ではなく賃貸住宅管理業の登録という別の制度で動いています。ですから「管理は続くが、募集だけが止まる」という中途半端な状態になり得ます。家主にとっては、これが一番こわい形です。空室期間が1か月延びれば、それがそのまま収入の目減りになります。
免許と登録は「別の2つ」です
| 制度 | 根拠 | 何のため | 確認の方法 |
|---|---|---|---|
| 宅地建物取引業の免許 | 宅地建物取引業法 | 売買・仲介(入居者の募集) | 免許番号。括弧内の数字は更新回数で、5年ごとに1つ増える |
| 賃貸住宅管理業の登録 | 賃貸住宅管理業法 | 管理の受託(集金・修繕・報告) | 登録番号。管理戸数200戸以上の会社は登録が義務 |
管理戸数が200戸以上の賃貸住宅管理業者は、国土交通大臣への登録が義務づけられています(国土交通省)。管理委託契約書や名刺に、この2つの番号が両方書かれているかを見てください。片方しかない場合、その会社に何を頼めるのかが変わってきます。
家賃は守られるのか——分別管理という仕組み
「会社が傾いたら、預けている家賃は戻ってこないのでは」と不安になる方もいると思います。ここには法律の備えがあります。
賃貸住宅管理業法では、管理業者が受け取った家賃・敷金などを、自社のお金と分けて管理する義務(財産の分別管理)が定められています。具体的には、家賃などを入れる専用の口座と、会社自身のお金の口座を別に開設して管理する運用が示されています(国土交通省)。契約者ごとに口座を分ける必要はありませんが、受け取ったお金がどの契約のものか、帳簿で直ちに判別できる状態にしておく必要があります。
あわせて知っておきたい2つの義務
- 年1回以上の報告義務:管理業者は、家賃などの収受状況、維持保全の実施状況、入居者からの苦情への対応状況を、最低でも年1回オーナーへ報告しなければなりません。報告書を見た記憶がないなら、制度が使われていないということです。
- 業務管理者の配置義務:営業所ごとに1人以上を置く必要があり、業務管理者がいない営業所では、新たに選任するまで管理受託契約を結べません。
今日からできる4つの点検
免許番号と更新回数を見る
管理業の登録番号を確認
送金日と口座の分け方を聞く
解約の予告期間を確かめる
③は電話一本で済みます。「家賃はいつ、どの口座から送金されていますか」「管理用の口座は会社のお金と分けていますか」。この2問に、担当者が即答できるかどうかが一つの目安になります。
④も忘れないでください。管理委託契約には、解約を申し入れてから実際に終わるまでの予告期間(3か月が一般的)が書かれています。いざ切り替えたいときに、ここを知らないと動けません。契約書の確認の進め方は、レオパレスTOB、家主が確認すべき契約3点でも整理しています。
点検チェックリスト
- ☐ 管理委託契約書に宅建業の免許番号が書かれているか
- ☐ 賃貸住宅管理業の登録番号も書かれているか
- ☐ 国土交通省の検索システムで、処分歴を確認したか
- ☐ 家賃の送金日が契約書に明記されているか
- ☐ 管理用の口座と会社の口座が分けられているか確認したか
- ☐ 直近1年の業務状況の報告書を受け取っているか
- ☐ 管理委託契約の解約予告期間が何か月か把握しているか
- ☐ 募集を他社にも出せる契約形態になっているか
よくある失敗は、処分のニュースを見てから慌てて動くことです。処分が公表された時点では、もう募集は止まっています。空室が出ていない平常時にこの8項目を確かめておくことが、結果的に家賃を途切れさせない備えになります。
相続で物件を引き継いだばかりの方へ
親から管理会社ごと引き継いだ場合、「昔からお付き合いのある会社だから」という理由だけで契約が続いていることがあります。長い付き合いは財産ですが、免許番号も登録番号も知らないまま任せ続けるのは別の話です。何から手をつければよいか分からないという方は、一人で抱え込まず、地域の事情に詳しい不動産会社に早めに相談してください。家賃の改定を含めた見直しの進め方は、「家賃値上げ」管理会社に丸投げNG?罰金300万円の線引きもあわせてご覧ください。
管理会社選び・相続した物件のご相談はこちら
管理会社との契約内容の確認や、管理会社選び・見直しでお悩みのオーナー様はもちろん、ご実家や親族のアパートを相続したものの何から手をつければよいか分からないという方も、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。
株式会社不動産スペース
TEL:06-6195-8209
まとめ
不動産会社は12年連続で増え、全体の約97.6%が地元密着の知事免許の会社です。選択肢は広がっています。一方で業務停止は2.25倍、行政指導は29.7%増。処分が怖いのは会社の信用問題ではなく、募集が止まって家賃が途切れることです。免許番号と登録番号、家賃の送金日と口座の分け方、解約予告期間。この4点を平常時に確かめておいてください。
よくある質問
Q. 業者数が増えているなら、管理会社は選びやすくなったということですか。
A. 選択肢は増えています。ただし監督処分は163件、行政指導は768件と前年より増えました。数が増えた分、見極めは必要です。
Q. 管理会社が業務停止になったら、家賃は入ってこなくなるのですか。
A. 集金そのものは賃貸住宅管理業の仕事なので、直ちに止まるとは限りません。ただし募集や仲介が止まるため、空室が埋まらない状態が続きます。
Q. うちは昔からの付き合いだし、今さら番号なんて聞けないのですが。
A. 免許番号と登録番号は契約書や重要事項説明書に記載されている事項です。改めて聞かなくても、手元の書類で確認できます。
Q. 預けている家賃が会社のお金と混ざっていないか、確認できますか。
A. 管理業者には財産の分別管理の義務があります。管理用の口座を別に開設しているかを質問し、回答を書面でもらっておくと安心です。
