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外食売上9.8%増は「値上げ効果」?大阪の一部飲食店に客足減少の影ー家主が見るべき視

飲食経営

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

外食売上は9.8%増、でも大阪の一部店舗には「反動」の影

日本フードサービス協会が2026年6月25日に発表した最新の調査によると、2026年5月の外食産業全体の売上は前年の同じ月より9.8%増えました。ただし、同じ資料の中で「大阪の一部の飲食店では、前の年の万博の賑わいの反動で客足が落ち込むところもある」とも指摘されています。好調に見える外食業界の中に、大阪ならではの心配のタネが隠れているのです。

2026年5月の業態別売上(前年同月比)

日本フードサービス協会というのは、外食チェーンなどが集まってできた業界団体です。毎月、加盟しているお店の売上をまとめて発表しています。業態(お店の種類)別に見ると、次のような結果でした。

業態 売上(前年同月比)
ファーストフード109.8%
ファミリーレストラン110.4%
パブ・居酒屋105.3%
ディナーレストラン110.6%
喫茶109.3%

どの業態も前の年より売上が伸びており、数字だけ見れば絶好調です。ただし、この売上の伸びをそのまま「お店が儲かっている」と受け取るのは早計です。

売上増の裏にある「値上げ効果」とコスト高
今回の調査では、客単価(お客様一人あたりの支払い額)も前年より3.5%上がっており、値上げによる押し上げ分が含まれています。原材料費や人件費の上昇はいまも続いており、値上げをしてもその分がコストに消えてしまい、利益はむしろ苦しいという飲食店経営者の声は少なくありません。実際、2026年上半期の飲食店倒産は473件と、上半期として過去最多を更新しました(帝国データバンク調べ)。売上の数字が伸びていても、「お客様の数自体は減っている気がする」と肌感覚で感じている経営者が多いのも、こうしたコスト高が背景にあります。

さらに大阪については、もう一つ気になる注意書きが「ディナーレストラン」の項目に添えられていました。

大阪ならではの背景
2025年は大阪・関西万博が開かれていた年で、会場の内外で多くの人が食事を楽しみました。万博は2025年10月に閉幕しており、2026年はその「賑わいの反動」を受けている店舗があるというわけです。大阪府がまとめた万博の経済効果に関する分析(2026年2月公表)でも、万博期間中は大阪の宿泊・飲食サービスの売上が全国平均を上回るペースで伸びていたことが示されています(大阪府・三菱UFJリサーチ&コンサルティング調べ)。会期中に押し上げられていた分だけ、閉幕後の落差を大きく感じるお店が出てくるのは自然な流れといえます。

家主・オーナーが次のテナント選びで見るべきポイント

これは物件のオーナーの皆様にとって、他人事ではありません。「前のテナントがなぜ辞めたのか」を気にする方は多いのではないでしょうか。ですが本当に見るべきは、売上の数字そのものよりも、万博のような一時的な追い風やコスト増の逆風があっても地力で経営を続けられる事業計画を新しい借り主が持っているかどうかです。売上が伸びていても利益が残っていないお店は、家賃の支払いも長くは続きません。万博特需だけを当て込んだ出店計画では、今後も同じことが繰り返されかねません。

  • 一時的な需要(万博、イベントなど)だけに頼っていない事業計画を持つ借り主かどうか
  • 売上だけでなく、コスト高の中でも利益を確保できる見込みがあるか
  • 建物のガスの容量や水道・排水の設備が、今の飲食スタイルに対応できているか
  • 立地が弱い物件ほど、オーナー側の設備投資が次のテナント付けを左右する

立地が強いエリアなら設備費用をテナント側が負担してでも入りたいと考えますが、そうでない物件では、オーナー側の設備投資が次のテナント付けを左右します。

飲食店経営者にとってのヒント

一方、飲食店経営者の皆様にとっても、今回のデータは示唆に富みます。喫茶業態のように客単価の上昇で底堅く伸びている業態もあれば、天候や曜日回りに左右されやすい業態もあります。万博のような一過性のブームに頼らず、日常的に通ってもらえる客層をどう作るかが、これからの大阪の飲食店経営の分かれ目になりそうです。

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空室対策や次のテナント選びでお悩みの家主様、大阪での出店をご検討中の飲食店経営者様、どちらのご相談も株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。

TEL:06-6195-8209

よくある質問

Q. 外食産業の売上が伸びているのに、なぜ苦しいという声が多いのですか?
A. 売上の伸びには値上げによる押し上げ分が含まれており、原材料費や人件費の上昇でコストも増えているため、利益は必ずしも伸びていないからです。

Q. 外食産業の売上が伸びているのに、なぜ大阪の一部店舗は苦戦しているのですか?
A. 万博期間中は多くの来場者が周辺で食事をしたため、その年と比べると客足が減って見えるためです。全国的なコスト高による値上げも影響しています。

Q. 家主として次のテナントを選ぶときに何を確認すべきですか?
A. 売上の数字だけでなく、コスト高の中でも利益を確保できる事業計画があるか、店舗のガス・水道・排水設備がその業態に見合っているかを確認するとよいでしょう。

参考

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