
一種単価とは?飲食店投資で使う土地効率の指標をプロが解説【2026年最新:大阪市・堺市・東大阪の事例付き】
土地の広告や査定書を見ていて、「坪単価は高いのに、なぜかこの土地の方が投資効率が良いと言われた」という経験はないでしょうか。その謎を解く鍵になるのが「一種単価(いっしゅたんか)」という指標です。今回は、飲食店×不動産の組み合わせで土地の仕入れを検討する投資家・事業者向けに、一種単価の意味と使い方を、2026年最新の公示地価データをもとにしたモデル試算とあわせて解説します。
1. 一種単価とは何か
一種単価とは、容積率100%あたりの土地単価を表す指標です。計算式は次の通りです。
一種単価 = 坪単価 ÷(容積率 ÷ 100)
例えば、坪単価100万円・容積率200%の土地であれば、一種単価は「100万円 ÷ 2 = 50万円」となります。同じ坪単価でも容積率500%の土地なら、一種単価は「100万円 ÷ 5 = 20万円」まで下がります。
坪単価は「土地そのものの値段」しか表しませんが、一種単価は「その土地に容積率いっぱいまで建物を建てたときの、延床面積1坪あたりの土地コスト」を表します。つまり、同じ金額を払うなら、どれだけの延床面積(=収益を生む床)を確保できるかという、投資効率の物差しになるわけです。
坪単価だけで土地を比較すると、容積率の違いを見落としがちです。坪単価が高くても容積率も高ければ、延床1坪あたりのコストは意外と安い、という逆転現象がよく起こります。
2. どんな人が、どんな場面で使う指標か
一種単価は、主に次のような人が、次のような場面で活用します。
- 不動産投資家・アセットマネージャー:複数の土地を比較検討する際、容積率の違う土地同士を同じ土俵で比較するために使う。特に賃貸マンションやオフィスビル、複合ビルの企画段階でのスクリーニングに有効
- 飲食店を軸にしたビル一棟オーナー・開発会社:飲食フロア+上層階賃貸(オフィスや住居)を組み合わせた複合ビルを企画する際、延床コストを事前に把握して事業収支の当たりをつける
- 土地の売買仲介・コンサルタント:坪単価だけでは説明しづらい「割安・割高」の判断根拠を、数字で示すために使う
具体例として、期待利回り8%、建築単価(坪)55万円、想定賃料(坪)1万円という条件で、容積率200%の土地と容積率400%の土地を比較すると、後者は同じ土地面積からほぼ倍の延床面積を確保できるため、坪単価が多少高くても投資効率で上回ることがあります。一種単価は、この「容積率の差による収益性の差」を一目で数値化してくれる指標です。
「坪単価が安いから割安」と判断する前に、必ず容積率とセットで見ること。逆に「坪単価が高いから割高」とも限りません。一種単価まで計算して初めて、フェアな比較ができます。
3.【2026年最新】大阪市内・堺市・東大阪の事例で計算してみる
ここからは、国土交通省・大阪府が公表する2026年(令和8年)地価公示のデータをもとに、実際に一種単価を計算してみます。大阪市内3地点は公示地価の標準地情報(容積率含む)に基づく実データ、堺市・東大阪市の2地点は公示地価の実データに、当該エリアで一般的な商業地域の指定容積率(400%)を想定したモデル試算です。いずれも特定の物件を示すものではなく、エリアの傾向を掴むための試算としてご覧ください。
大阪市内:中崎町・天満・心斎橋筋
| エリア | 坪単価(2026年公示地価) | 容積率 | 一種単価 |
|---|---|---|---|
| 中崎町(大阪市北区中崎) | 約535万円/坪 | 600% | 約89万円/坪 |
| 天満(大阪市北区東天満) | 約717万円/坪 | 800% | 約90万円/坪 |
| 心斎橋筋(大阪市中央区) | 約1,081万円/坪 | 500% | 約216万円/坪 |
ここで面白いのは、坪単価が535万円の中崎町と717万円の天満の一種単価がほぼ同水準(89万〜90万円)になる点です。天満の方が坪単価は高いものの、容積率が800%と大きいため、延床1坪あたりのコストで見ると中崎町と大差ありません。一方、心斎橋筋は容積率500%にとどまるため、坪単価の高さがそのまま一種単価に跳ね返り、他の2エリアの2倍以上の水準になっています。
「心斎橋は坪単価が高いから手を出しにくい」で終わらせず、一種単価で見ると「延床コストが突出して高い」ことが数値で裏付けられます。逆に天満は坪単価だけ見ると中崎町より見劣りしますが、一種単価で見れば同水準の投資効率があると言えます。
堺市・東大阪市:堺東駅前・布施駅前
| エリア | 坪単価(2026年公示地価) | 容積率(モデル想定) | 一種単価 |
|---|---|---|---|
| 堺東駅前(堺市堺区) | 約364万円/坪 | 400% | 約91万円/坪 |
| 布施駅前(東大阪市) | 約99万円/坪 | 400% | 約25万円/坪 |
堺東駅前は坪単価だけ見れば大阪市内の中崎町・天満より安く見えますが、一種単価で比較すると91万円とほぼ同水準まで詰まります。これは、堺東の容積率(400%と想定)が大阪市内の商業地域(600〜800%)より低いため、延床効率の面では大阪市内と差が縮まることを意味します。対して布施駅前は坪単価・一種単価とも他の4エリアより明確に低く、延床コストの面でも仕入れやすいエリアであることが数値からも読み取れます。

郊外エリアは「坪単価が安いから狙い目」と単純に見えがちですが、容積率次第では大阪市内の一部エリアと投資効率が変わらないケースもあります。仕入れ判断の際は、坪単価の安さだけでなく必ず容積率とセットで一種単価まで確認することをおすすめします。
4. まとめ:一種単価を使いこなす3つのポイント
- 坪単価だけで比較しない:容積率の異なる土地は、坪単価だけでは公平に比較できません。必ず一種単価に換算してから比較しましょう。
- 「坪単価が高い=割高」とは限らない:容積率が高ければ、坪単価が高くても一種単価は抑えられることがあります。天満と中崎町の比較がその好例です。
- 郊外エリアも侮らない:容積率次第では、郊外の土地が大阪市内の一部エリアと同水準の投資効率を持つこともあります。仕入れ検討の際は必ず容積率を確認しましょう。
一種単価はあくまで簡易的な比較指標であり、実際の投資判断では建築コスト、賃料水準、レンタブル比、前面道路幅員による容積率の低減など、他の要素も合わせて検討する必要があります。土地の仕入れや飲食店を軸にした複合ビルの企画でお悩みの際は、株式会社不動産スペースまでお気軽にご相談ください。
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よくある質問
Q. 一種単価と坪単価、投資判断ではどちらを重視すべきですか?
A. 用途によって使い分けが必要です。単純な「土地そのものの値段」を見るなら坪単価、容積率の異なる土地同士を公平に比較したいなら一種単価が向いています。特に容積率が大きく異なるエリア同士を比較するときほど、一種単価の重要性が増します。
Q. 容積率はどこで確認できますか?
A. 自治体の都市計画情報(用途地域図)や、国土交通省の「不動産情報ライブラリ」で確認できます。ただし前面道路の幅員によって指定容積率いっぱいまで建てられないケースもあるため、実際の計画時には前面道路の幅員もあわせて確認が必要です。
Q. 一種単価が低ければ、必ず投資に向いている土地と言えますか?
A. 一種単価はあくまで延床コストの目安であり、それだけで投資判断はできません。賃料水準やレンタブル比、建築コスト、周辺の需要動向なども合わせて検討する必要があります。
Q. 飲食店を軸にした複合ビルの企画にも一種単価は使えますか?
A. はい。低層階を飲食店フロア、上層階をオフィスや住居に充てる複合ビルの企画では、延床コストの把握が事業収支の精度を左右します。一種単価は、その延床コストを容積率ベースで素早く見積もる際に有効です。
出典
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ(地価公示・都道府県地価調査)
- 大阪府 令和8年地価公示の結果について
- 大阪市 令和8年地価公示結果について
- 土地代データ(Land Price Japan)大阪市の地価
- 土地代データ(Land Price Japan)堺市の地価
- 土地代データ(Land Price Japan)東大阪市の地価
- 一種単価とは?土地の「収益性」を計算してみよう!|Redia
※本記事のデータは調査時点(2026年8月)のものです。数値は変動する可能性があるため、実際の投資判断の際は最新情報を個別にご確認ください。堺市・東大阪市の事例は公示地価の実データに、一般的な商業地域の指定容積率を想定したモデル試算であり、特定の物件を示すものではありません。
