
飲食店の倒産が上半期最多473件に―大阪の家主が「次のテナント」を選ぶときに見るべきポイント
飲食店の倒産、なぜ増えている?
2026年上半期(1〜6月)に全国で倒産した飲食店は473件で、統計を取り始めてから最も多い件数になりました(帝国データバンク調べ、2026年7月22日発表)。大阪でもテナントの入れ替わりが増えているいま、家主にとって本当に大事なのは「前のお店がなぜ辞めたか」ではなく、「次のお店が家賃を払い続けられるかどうか」です。
「倒産」とは、会社がお金を払えなくなり、裁判所などの手続きで整理することです。2026年上半期の飲食店の倒産は473件で、前年同期(458件)より15件多く、4年連続で増え続けています。負債の合計額は約246億円で、前年より36.6%も増えました(帝国データバンク調べ)。
業態別に見ると、次のようになっています。
| 業態 | 2026年上半期の倒産件数 | 前年同期比 |
|---|---|---|
| 酒場・ビヤホール(居酒屋など) | 125件 | +20件(過去最多) |
| 中華・東洋料理店(ラーメン・焼肉など) | 91件 | +3件(過去最多) |
| 日本料理店 | 48件 | +2件 |
(出典:帝国データバンク「飲食店」の倒産動向(2026年上半期)、2026年7月22日発表)
大手チェーンは規模を生かしてコストを抑えつつ、値上げで利益を確保できていますが、体力の乏しい小規模店は、材料費や人件費の上昇分を値段に転嫁しきれず、苦しくなっているのです。
- 人件費のさらなる上昇:厚生労働省の中央最低賃金審議会は2026年7月28日、2026年度の最低賃金の引き上げ目安を答申しました。大阪府が含まれる「Aランク」の目安は54円で、現在の時給1,177円から1,231円になる見通しです(実際の金額は、この後各都道府県の審議会で正式に決まります)。
- 「ゼロゼロ融資」の返済負担:コロナ禍に無利子・無担保で借りられた「ゼロゼロ融資」の返済も重くのしかかっています。2026年上半期にこの融資を利用したあとに倒産した企業は157件あり、業種別では飲食店が20件でもっとも多くなりました(東京商工リサーチ調べ)。
- 記録的な猛暑による客足減少:2026年7月は、国内で気温40度以上の「酷暑日」が5日連続で観測されるなど、記録的な暑さになりました。日本フードサービス協会がまとめた6月の調査でも、記録的な高温の影響で外食産業の客数の伸びが鈍った(前年同月比+1.9%にとどまった)ことが報告されています(2026年7月27日発表)。
「テナントが辞めた」は悪いことばかりではありません
「また空きが出た、次はどんな人に貸そう」と、不安に感じている家主さんも多いのではないでしょうか。ただ、地価や家賃相場が上がっている大阪の今の局面では、テナントの退去は必ずしも悪いことではありません。むしろ、家賃を今の相場に見直す好機ととらえることもできます。
次のテナント選びで本当に見るべきなのは、前のお店が辞めた理由そのものではありません。材料費や人件費の高騰は業界全体の問題であり、必ずしも立地や建物のせいではないからです。それよりも重視すべきは、新しく入る借り主が、今のコスト環境でも家賃をきちんと払い続けられるだけの資金力と事業計画を持っているかどうかです。
家賃を滞納しながら居座るケースにも要注意
家賃の滞納が続くお店ほど、退去すると原状回復(借りたときの状態に戻す工事)の費用がかかるため、解約を渋って居座ってしまうことがあります。こうした場合、内装や厨房設備を残したまま次のテナントに引き継ぐ「居抜き」にすると、家賃が途切れる期間を短くでき、家主の資産を守ることにつながります。ただし、同じ飲食店同士でも、火力や換気の能力といった設備の仕様は店によって違います。引き継ぎの際は、次に入るお店の業態に設備が合っているかを必ず確認しましょう。
建物のインフラが「呼べるお店」を左右します
- 立地の良い場所なら、多少の設備投資はテナント側が負担してでも入居してくれます。
- 立地が弱い物件では、ガスの容量や水道・排水の量など、飲食店特有の設備が整っているかどうかが、次のテナントを呼び込めるかどうかのカギになります。
- 1階が店舗、上の階が住居という「下駄履きマンション」では、排気・排煙の設備が上階とのトラブルの原因になりやすく、一般的にテナント側の負担ですが、高層階になるほど工事費がかさみ、テナントが決まりにくくなる傾向があります。
なお、これから大阪で出店を検討している飲食店経営者の方にとっても、前のテナントが辞めた理由や、残っている設備の状態を確認することは、物件選びに役立つ情報です。家主・借り主それぞれの立場で、確認すべきポイントは変わってきます。
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よくある質問
Q. 飲食店の倒産が増えているのは、立地の悪い物件が多いからですか?
A. 主な原因は材料費・人件費の高騰など業界全体の構造的な問題で、必ずしも立地や物件の問題ではありません。
Q. テナントが家賃を滞納したまま居座っている場合、どうすればいいですか?
A. 内装や設備を残したまま次のテナントに引き継ぐ「居抜き」にすると、家賃が途切れる期間を抑えられます。ただし設備の適合性は必ず確認しましょう。
Q. 次のテナントを選ぶとき、一番重視すべきことは何ですか?
A. 前のお店の退去理由よりも、新しい借り主が今のコスト環境でも家賃を払い続けられる資金力・事業計画を持っているかどうかです。
参考
- 上半期の「飲食店」倒産 過去最多の473件、4年連続で増加 中小・零細飲食店の苦境がより顕著に|Yahoo!ニュース
- 「飲食店」の倒産動向(2026年上半期)|株式会社帝国データバンク
- 令和8年度中央最低賃金審議会目安に関する小委員会(第4回)資料|厚生労働省
- 令和8年度最低賃金の引上げ額の目安はAランク54円、BCランク56円に|労務ドットコム
- 2026年上半期「ゼロゼロ融資」利用後の倒産157件 コスト高の影響で「飲食店」が最多、累計は2,383件|東京商工リサーチ
- 日本フードサービス協会、6月の外食産業市場動向調査結果を発表|日本経済新聞
※最低賃金の最終的な金額や発効日は、今後の地方最低賃金審議会の審議により変わる可能性があります。最新情報は厚生労働省の発表をご確認ください。
