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飲食店を閉店する前に読むべき完全ガイド|手続き・費用・スケジュールを徹底解説

閉店

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

(2026年9月27日更新)

飲食店を閉めることは、開店と同じくらい多くの手続きが必要です。「何から手をつければいいのか分からない」と不安に感じている方もご安心ください。事前に流れを知っておくことで、無駄な費用やトラブルの多くは防げます。この記事では、大阪を含む全国の飲食店オーナー様が閉店を決意したときに必要なステップを、決断の段階から閉店後の届出・法人の場合の追加対応まで、10のステップに整理してご紹介します。要点だけを手早く確認したい方は、以前の記事飲食店を閉めるとき、何から始める?失敗しない閉店準備の7ステップもあわせてご覧ください。

この記事のポイント

  • 最優先は「解約予告」と「原状回復か居抜き売却か」の2点。ここで動き出すのが早いほど、費用も手間も抑えられます
  • 原状回復費用の目安は坪5万円(軽飲食)〜10万円(重飲食)。放っておくと100万円超えも珍しくありません
  • 法人の解散・清算は登録免許税だけで41,000円、官報公告費用を含めると実費8万〜10万円程度が目安です

閉店までの10ステッ




STEP1|閉店の決断とスケジュール計画

「閉店するか続けるか…」と悩むオーナー様も少なくありません。赤字が続いている、体力的に限界、後継者がいないなど、閉店を決断する理由はさまざまです。まずは冷静に現状を見つめ、閉店が最善の選択かを判断しましょう。

閉店を決意したら、まずやるべきは全体のスケジュール立てです。

  • ☐ 契約書に記載された解約予告期間を確認した
  • ☐ 大家さんや管理会社へ「解約通知書」を提出した
  • ☐ 退去日から逆算したスケジュールを組んだ

目安:解約予告期間は大阪の路面店で3か月が一般的ですが、商業施設や大手の貸主では6か月前予告となることもあり、契約ごとに大きく異なります。通知が遅れると余計な家賃が発生するため、早めに動きましょう。

解約予告期間の法的な位置づけや、次のテナントが決まった場合の支払義務については、以前の記事「飲食店の「解約予告期間」トラブルと対処法|閉店前に確認」で詳しく解説しています。

STEP2|金融機関への連絡と対応

日本政策金融公庫や銀行から融資を受けている場合は、閉店前に必ず連絡をしましょう。営業をやめても返済義務は残ります。状況によっては返済計画の見直しや条件変更の相談が可能です。借入先に「返済を継続しつつ閉店する」旨を伝えることで、信用を保ちながら円満に撤退できます。

借金が重く返済が困難な場合は、早めに弁護士に相談してください。任意整理や自己破産など、適切な方法で再出発を目指しましょう。

STEP3|原状回復か居抜き売却かの選択

物件によっては「原状回復義務」があり、内装をスケルトン状態に戻して退去する必要があります。

業態タイプ原状回復費用の目安(坪単価)
軽飲食(カフェなど)5万円程度
重飲食(焼肉など)10万円程度

(飲食店ドットコム調べ)立地や物件の使用年数、廃棄物の搬出経路などによって変動し、小規模店舗でも工事費が100万円に達することは珍しくありません。見積もりの内訳と交渉余地の確認方法は、以前の記事「店舗の原状回復見積もり「スケルトン戻し」の落とし穴とは」で解説しています。

一方、「居抜き売却」なら、厨房機器や内装をそのまま残して次の借主に引き継ぐことができ、原状回復費を回避できる上に譲渡代金も得られる可能性があります。工事費と譲渡代を合わせて200万円以上の差額になった事例は、以前の記事「居抜き譲渡で原状回復費用を抑え、200万円プラスで手放す方法【大阪版】」でもご紹介しています。売却を希望するなら、仲介業者への相談は閉店決断と同時に始めるのが理想です。

STEP4|備品・リース機器の整理と処分

まず、店内の設備がリース契約か所有かを確認しましょう。

  • リース品:返却が必須です。途中解約は清算金が発生することもあります
  • 所有物:中古買取業者に見積もりを依頼することで現金化が可能です

不用品回収業者を活用すれば処分もスムーズです。複数社で見積もりを取ることをおすすめします。

STEP5|従業員への通知と労務対応

従業員がいる場合、1か月以上前の解雇予告が原則です。間に合わない場合は、解雇予告手当(平均賃金×不足日数分)を支払う義務があります。具体的な計算方法や退職金との違いは、以前の記事「飲食店の閉店「解雇予告手当」と退職金の考え方」で詳しく解説しています。

  • ☐ 最終給与の支払いを済ませた
  • ☐ 社会保険の脱退手続きを行った
  • ☐ 離職票を発行した

可能であれば、再就職のサポートや推薦など、誠意ある対応を心がけてください。

STEP6|取引先・業者への連絡と契約整理

食材・酒類の仕入れ、リネンサービス、BGMやPOS機器、インターネット、ゴミ回収など、契約している業者はすべてリスト化して順次解約・清算しましょう。書面やメールで記録を残しておくと、後のトラブル予防につながります。

STEP7|お客様・近隣住民への告知

これまで支えてくれた方々に、感謝の気持ちとともに閉店をご報告しましょう。SNS・LINE・DM・店頭掲示・手紙など告知方法はさまざまです。閉店セールやイベントで最後の来店を促すのもよいでしょう。

STEP8|閉店にかかる費用一覧と節約ポイント

費用項目概算目安(例)
原状回復工事費坪5万〜10万円×面積
解約までの家賃家賃×予告期間(3〜6か月)
保証金償却分家賃1〜2か月分
リース解約費用契約残期間分
備品廃棄・回収数万円〜数十万円
従業員関連費用給与・手当・保険料精算

居抜き売却が成功すれば、上表の原状回復工事費を大幅に削減できます(STEP3でご紹介した事例もご参考ください)。※金額は目安です。物件の規模・状態・契約内容によって大きく変動します。

STEP9|閉店後に必要な届出・手続き

  • ☐ 保健所(営業許可証返納)
  • ☐ 税務署(廃業届・青色申告取りやめ)
  • ☐ 年金事務所(社会保険の喪失)
  • ☐ ハローワーク(雇用保険の廃止)
  • ☐ 労働基準監督署(労働保険清算)
  • ☐ 警察署・消防署(風営法・深夜営業の場合)

個人事業主の方が提出すべき具体的な書類と提出先は、以前の記事「飲食店の廃業、個人事業主が出す「3つの届出書」とは」で確認できます。各書類の提出期限に注意し、リストで管理することをおすすめします。

STEP10|法人の場合の追加ステップ

法人経営の場合、会社の「解散・清算」が必要です。株主総会の開催、清算人の選任、解散登記と公告、法人税等の精算・届出という流れになります。

登録免許税の内訳(法律で定められた金額)

手続き登録免許税
解散登記30,000円
清算人選任登記9,000円
清算結了登記2,000円

(登録免許税法別表第一第24号、法務局資料より)これに官報公告費用(4万〜6万円程度)が別途かかるため、実費の総額はおおむね8万〜10万円が目安です。

具体的な5ステップの流れは、以前の記事「法人飲食店の「解散・清算」完全ガイド|流れと費用」で詳しく解説しています。専門家(税理士・司法書士)への依頼でスムーズに進められます。

よくあるトラブル事例と対策

  • 解約通知が遅れ、家賃が追加で発生した
  • リース品を勝手に売却してしまい違約金が発生した
  • 原状回復の範囲で大家と揉めた
  • ネットや保険の解約漏れで請求が続いた

いずれも「契約書の確認」と「ToDoリストの作成」がトラブル予防のカギです。

閉店前チェックリスト

  • ☐ 契約書で解約予告期間・原状回復の範囲を確認した
  • ☐ 金融機関への連絡(融資がある場合)を済ませた
  • ☐ 原状回復か居抜き売却かの方針を決めた
  • ☐ リース品・所有物の仕分けと処分方法を確認した
  • ☐ 従業員への解雇予告・最終給与・社保手続きの段取りをした
  • ☐ 取引先契約(仕入れ・リネン・POS等)をリスト化した
  • ☐ お客様・近隣への告知方法を決めた
  • ☐ 閉店後の届出(保健所・税務署・年金事務所等)をリスト化した
  • ☐ (法人の場合)解散・清算の専門家(税理士・司法書士)を手配した

閉店手続き・居抜き売却のご相談はこちら

飲食店の閉店は手順が多く、ひとりで進めると余計な費用やトラブルにつながりがちです。大阪市の店舗物件に精通した株式会社不動産スペースが、解約通知前のご相談から寄り添います。

TEL:06-6195-8209(営業時間10時〜18時・定休日なし)

お問い合わせフォームはこちら

よくある質問

Q. 閉店の手続きは全部で何ステップありますか?
A. 個人事業主でおおむね10ステップです。法人の場合は解散・清算の専門手続きが加わります。まずは解約予告期間と原状回復の範囲を確認することから始めましょう。

Q. 原状回復と居抜き売却、どちらを先に検討すべきですか?
A. 可能であれば解約通知前に居抜き売却の可能性を探るのが優先です。解約後だと時間不足で原状回復一本になりやすいためです。

Q. 従業員への連絡はいつ行うべきですか?
A. 解雇予告は原則1か月以上前が目安です。閉店日が決まり次第、できるだけ早めに伝えることが現場の混乱を避けるカギです。

Q. 法人の場合、廃業届だけではダメなのでしょうか?
A. はい。法人は会社の「解散・清算」の手続き(株主総会・清算人選任・登記等)が別途必要です。税理士・司法書士への相談をおすすめします。

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