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飲食店を閉店する前に読むべき完全ガイド|手続き・費用・スケジュールを徹底解説

閉店

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア17年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。
大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートを手がける。
これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、
実際の経営数値や現場課題をもとに“リアルな店舗経営の見える化”を発信中。
現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」。





飲食店閉店ロードマップ|閉店方法と手順


閉店は“失敗”ではなく、“次のステージへの一歩”


飲食店を閉店することは、開店と同じくらい多くの手続きが必要です。事前に必要な準備や流れを知っておくことで、無駄な費用やトラブルを防ぐことができます。このガイドでは、大阪を含む全国の飲食店オーナーが閉店を決意したときに、必要なステップを段階ごとに整理しました。初めての方にもわかりやすく、閉店に関わる不安を少しでも軽くできる内容を目指しています。




✅ 1. 閉店の決断とスケジュール計画




「閉店するか続けるか…」と悩むオーナーも少なくありません。赤字が続いている、体力的に限界、後継者がいないなど、閉店を決断する理由はさまざまです。まずは冷静に現状を見つめ、閉店が最善の選択かを判断しましょう。

閉店を決意したら、まずやるべきは全体のスケジュール立て。賃貸物件であれば、契約書に記載された**解約予告期間(通常3〜6ヶ月前)**を確認し、大家さんや管理会社へ「解約通知書」を提出します。通知が遅れると余計な家賃が発生するため、退去日を逆算して早めに動きましょう。



✅ 2. 金融機関への連絡と対応



日本政策金融公庫や銀行から融資を受けている場合は、閉店前に必ず連絡を。営業をやめても返済義務は残ります。

状況によっては返済計画の見直し条件変更の相談が可能です。借入先に「返済を継続しつつ閉店する」旨を伝えることで、信用を保ちながら円満に撤退できます。

借金が重く返済が困難な場合は、早めに弁護士に相談を。
  →任意整理や自己破産など、適切な方法で再出発を目指しましょう。



✅ 3. 原状回復か居抜き売却かの選択




物件によっては「原状回復義務」があり、内装をスケルトン状態に戻して退去する必要があります。

  • 原状回復費用の目安:坪単価5〜10万円以上

しかし「居抜き売却」なら、厨房機器や内装をそのまま残して次の借主に引き継ぐことができ、原状回復費を回避できる上に譲渡代金も得られる可能性があります。

✅ 売却を希望するなら早めの準備が鍵!
  →仲介業者への相談は、閉店決断と同時が理想です。

   飲食店閉店サポート(不動産スペース)

✅ 4. 備品・リース機器の整理と処分




まず、店内の設備がリース契約か所有かを確認しましょう。

  • リース品:返却必須。途中解約は清算金が発生することも。

  • 所有物:中古買取業者に見積もり依頼することで現金化が可能。

不用品回収業者を活用すれば、処分もスムーズ。
  →複数社で見積もりを取るのがおすすめです。



✅ 5. 従業員への通知と労務対応




従業員がいる場合、1ヶ月以上前の解雇予告が原則。間に合わない場合は、予告手当(1日分の給与×不足日数分)を支払う義務があります。

また、以下の対応も忘れずに:

  • 最終給与の支払い

  • 社会保険の脱退手続き

  • 離職票の発行

可能であれば再就職のサポートや推薦など、誠意ある対応を心がけましょう。



✅ 6. 取引先・業者への連絡と契約整理




以下のような契約はすべてリスト化して順次解約・清算を:

  • 食材・酒類の仕入れ

  • リネンサービス

  • BGMやPOS機器、インターネット、ゴミ回収など

書面やメールで記録を残し、トラブル予防を忘れずに。



✅ 7. お客様・近隣住民への告知




これまで支えてくれた方々に、感謝の気持ちとともに閉店のご報告をしましょう。

  • 告知方法例:SNS/LINE/DM/店頭掲示/手紙など

  • 閉店セールやイベントで最後の来店を促すのも◎



✅ 8. 閉店にかかる費用一覧と節約のポイント





費用項目 概算目安(例)
原状回復工事費 坪5万〜10万円×面積
解約までの家賃     家賃×予告期間(3〜6ヶ月)
保証金償却分 家賃1〜2ヶ月分
リース解約費用 契約残期間分
備品廃棄・回収 数万円〜数十万円
従業員関連費用 給与・手当・保険料精算

居抜き売却が成功すれば、大幅にコストを削減できます!



✅ 9. 閉店後に必要な届出・手続き




  • 保健所(営業許可証返納)

  • 税務署(廃業届・青色申告取りやめ)

  • 年金事務所(社会保険の喪失)

  • ハローワーク(雇用保険の廃止)

  • 労働基準監督署(労働保険清算)

  • 警察署・消防署(風営法・深夜営業の場合)

各書類の提出期限に注意し、リスト管理をおすすめします。


✅ 10. 法人の場合の追加ステップ


法人経営の場合、会社の「解散・清算」が必要です。

  • 株主総会の開催

  • 清算人の選任

  • 解散登記と公告

  • 法人税等の精算・届出

専門家(税理士・司法書士)への依頼でスムーズに進められます。


⚠ よくあるトラブル事例と対策


  • ❌ 解約通知が遅れ家賃が追加で発生

  • ❌ リース品を勝手に売却して違約金

  • ❌ 原状回復の範囲で大家と揉めた

  • ❌ ネットや保険の解約漏れで請求継続

✅ 「契約書の確認」「ToDoリストの作成」がトラブル予防のカギ!


まとめ|丁寧な撤退が信頼と次のチャンスを生む


閉店は決して「失敗」ではありません。むしろ、冷静に状況を見極め、**最善のタイミングで撤退することは“立派な経営判断”**です。

誠実な対応は信頼を生み、次の挑戦の力になります。

このガイドが、あなたの円滑な店じまいと明るい再出発のきっかけとなれば幸いです。

閉店は終わりではなく、次のスタートラインです。


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