
飲食店「居抜き」と「スケルトン」費用相場を徹底比較
(2026年9月25日更新)
飲食店を開業するとき、物件は大きく分けて「居抜き物件」と「スケルトン物件」の2種類があります。結論から言うと、居抜きは初期費用を抑えて早く開業できるのが強み、スケルトンは費用と時間がかかる代わりに自由な設計ができるのが強みです。「できるだけお金をかけずに、早くお店を始めたい」という方もいれば、「せっかくならこだわりの内装にしたい」という方もいると思いますが、どちらが正解ということはなく、ご自身の状況に合わせて選ぶことが大切です。
この記事のポイント
- 居抜きは初期費用を抑えて早く開業できる。スケルトンは自由な設計ができる代わりに、費用は1.5〜2倍ほどかかる
- 坪単価は「厨房機器を含むかどうか」で数字の意味が大きく変わるため、見積もり時の確認が必須
- 資材高の影響で、内装工事費は数年前の相場感より全体的に上振れ傾向にある
居抜き物件とスケルトン物件の基本的な違い
| 項目 | 居抜き物件 | スケルトン物件 |
|---|---|---|
| 内装・設備 | 前のテナントのものが残っている | 何もない状態(コンクリート打ちっぱなし) |
| 初期費用 | 比較的安い | 比較的高い |
| 開業までの期間 | 短い(数週間~) | 長い(数ヶ月~) |
| デザインの自由度 | 低い(残された設備の制約を受ける) | 高い(一から自由に設計できる) |
| 退去時の原状回復 | 契約次第(居抜きのまま引き継げる場合もあり) | 基本的にスケルトンに戻す義務がある |
居抜き物件とは?
居抜き物件とは、前のテナントが使っていた内装や設備、什器(じゅうき。テーブルや椅子、厨房機器などの備品のことです)がそのまま残された状態で引き渡される物件のことです。厨房設備や空調、水回り、カウンターなどが残っており、契約後すぐに営業できる状態になっているケースも多く、看板を付け替えるだけで開店できる場合もあります。
- 前のテナントの設備をそのまま使えるため、初期費用を抑えやすい
- 開業までの準備期間も短縮できる
- 前のテナントと似た業態で開業する場合(例:以前も飲食店だった物件で似た業種を開業するなど)は、残された設備をそのまま活用しやすい
- 物件オーナーの方針によっては、居抜きで借りたとしても退去時にスケルトン状態への原状回復を求められるケースがある
- 契約前に「退去時は原状回復が必要かどうか」を確認しておかないと、退去時に設備の撤去費用を請求され「かえって高くついた」ということにもなりかねない
スケルトン物件とは?
スケルトン物件とは、前のテナントが使っていた内装や設備をすべて撤去し、建物の骨組み(構造)だけが残った状態の物件のことです。床や壁もなく、配管や配線がむき出しの状態になっています。新しく入居する側がゼロから内装工事を行い、必要な設備や什器をすべて揃えて店舗を作り上げていく必要があります。
- 前のテナントの設備に左右されず、一から理想のお店を自由に作り上げられる
- レイアウトやデザインにこだわりたい方、飲食店以外の用途(美容院や物販店など)に転用したい方にも向いている
- 退去時も原則スケルトン状態に戻して明け渡す義務があり、解体・撤去費用(原状回復費用)が借主負担になる
- 居抜きのように内装を次のテナントへ譲渡して撤去費を抑える、ということが基本的にできない
- 開店時だけでなく、退去時までを見据えてトータルコストを考える必要がある
費用面の比較
初期費用は、居抜きとスケルトンで大きな差が出やすいポイントです。ここで注意したいのが、「坪単価に厨房機器(コンロ・冷蔵庫・シンクなどの調理器具)の購入費が含まれているかどうか」です。同じ「坪60万円」という数字でも、業者によって意味が違うことがあります。物件取得費まで含めた開業費用全体を確認したい方は、以前の記事【2026年最新】大阪の飲食店開業ガイド|初期費用と物件探し方もあわせてご参照ください。
坪単価の目安(内装工事費のみ、厨房機器は含みません)
壁・床・電気・給排水・空調などの内装工事費の坪単価は、次のような幅で紹介されています(業態や設備の状態によって大きく変わるため、あくまで目安としてご覧ください)。
| 物件タイプ | 坪単価の目安(内装工事費のみ) |
|---|---|
| 居抜き物件 | 20万円~70万円程度(中央値は40万円前後) |
| スケルトン物件 | 40万円~120万円程度(中央値は60万円台) |
共通しているのは「スケルトンは居抜きの1.5~2倍程度の費用がかかる」という傾向です(内装工事会社の目安より)。特に焼肉店やラーメン店など大型の排気・ダクト設備が必要な業態は、スケルトンだと坪単価が120万円近くまで高くなることもあります。
厨房機器代は別途必要
上記の坪単価に加えて、厨房機器(コンロ・冷蔵庫・シンクなどの調理器具)・什器・家具・看板などの費用が別途かかります。目安は100万円〜500万円程度とされています(内装工事会社の目安より、規模・業態により大きく異なります)。
⚠ 見積もり時の注意:坪単価だけを他社と比較すると、厨房機器代が含まれているかどうかで総額の見え方が大きく変わります。見積もりを比較する際は、坪単価に何が含まれているかを業者に必ず確認することをおすすめします。
なお、建設資材物価指数(2015年を100とした指数)は2025年8月時点で142.8と、9か月連続で上昇が続いています(前年同月比2.7%増、建設物価調査会調べ)。内装の工事費部分は、資材高の影響で数年前の相場感より全体的に上振れする傾向にあるため、開業を検討中の方は最新の見積もりを複数の業者から取ることをおすすめします。
造作譲渡料の目安
居抜き物件では、前のテナントの設備を引き継ぐ対価として「造作譲渡料」を支払うのが一般的です。飲食店ドットコムの調査(2024年5月発表)によると、業態別の相場は次の通りです(東京23区のデータのため、大阪ではまた相場が異なりますが、業態によって数百万円単位の差が出る傾向自体は参考になるはずです)。
- 中華・焼肉:300万円台
- お弁当・惣菜・デリ:136万円程度
工事期間中の家賃負担にも注意
スケルトン物件では契約開始から開業まで数ヶ月の工事期間が発生し、その間も賃料(空家賃)の負担が生じます。居抜き物件であれば工事期間を短縮できるため、この負担を抑えて早く売上を立てられるという点も、実質的なコスト差として見逃せません。
どちらを選ぶべきか、判断前に確認したいこと
- ☐ 開業までにかけられる期間・資金はどれくらいか確認した
- ☐ 残されている設備が、自分の業態にそのまま使えるか確認した
- ☐ 契約時に「退去時の原状回復義務の有無」を確認した
- ☐ 造作譲渡料が別途かかる場合、総額でいくらになるか試算した
- ☐ 見積もりの坪単価に、厨房機器の購入費が含まれているか業者に確認した
「居抜きだから必ず安い」「スケルトンだから必ず高い」と決めつけないことも大切です。立地が良く設備の状態も良い人気の居抜き物件は、賃料や譲渡料が割高になり、結果としてスケルトンとの差額が小さくなることもあります。
逆に、居抜きでも設備が自分の業態に合わず結局全面改装するケースでは、居抜きのメリットを活かせないこともあります。ダクトやトイレなど、業態によって工事費が100万円単位で変わってくるポイントについては、以前の記事「スケルトン」の落とし穴、ダクト・トイレで100万円差で詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。物件ごとの条件を踏まえて、総額で試算することをおすすめします。
居抜き物件を選ぶ際によくあるトラブルについては、以前の記事え、そんなことも?居抜き物件で「本当にあった」開業トラブル7選もあわせてご覧ください。
また、開業時だけでなく将来の退去まで見据えておくと安心です。居抜きのまま次のテナントに引き継ぐことで原状回復費用を抑えられる仕組みについては、飲食店オーナー必見!閉店費用を大幅削減できる「居抜き譲渡」とは?で詳しく解説しています。
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居抜き物件かスケルトン物件かで迷われている方、大阪でのご出店にあたって物件探しをされている飲食店経営者様は、株式会社不動産スペースまでお気軽にお問い合わせください。将来の移転・閉店を見据えた物件選びのご相談もあわせて承っております。
よくある質問
Q. 居抜き物件とスケルトン物件、結局どっちがお得なんでしょうか?
A. 一般的には居抜きの方が初期費用を抑えやすいですが、造作譲渡料や物件の人気度によって差は縮まることもあります。総額で比較することをおすすめします。
Q. 居抜き物件で開業すれば、退去時の費用もかからないのですか?
A. いいえ。契約内容によっては、居抜きで借りても退去時にスケルトンへの原状回復を求められる場合があります。契約前の確認が重要です。
Q. 開業資金をできるだけ抑えたい場合、何を優先すればいいですか?
A. まずは残された設備が自分の業態に使えるかを確認し、使える設備が多い居抜き物件を中心に探すと初期費用を抑えやすくなります。
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参考
※坪単価は内装工事会社・業界サイトによる独自調査・目安であり、公的統計ではありません。実際の費用は物件・業態により異なるため、個別の見積もりでのご確認をおすすめします。建設資材物価指数のみ、業界団体による公表データです。
