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十三駅の飲食店出店ポテンシャルを徹底分析|大阪屈指の飲み屋街の商圏データと賃料相場【2026年最新】

商圏分析

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

阪急神戸本線・宝塚本線・京都本線が分岐する十三駅は、大阪梅田からわずか2〜3分でありながら、「大阪屈指の飲み屋街」として知られる下町情緒あふれるエリアです。西側には昔ながらの大衆酒場が密集する一方、東側では近年タワーマンションの建設や淀川河川敷での新しい商業開発が進んでおり、街の姿が大きく変わりつつあります。今回は十三駅を「飲食店の出店先」という視点でデータを整理しました。北新地の記事と読み比べると、大阪の「高級」と「庶民派」という両極端な歓楽街の違いがより鮮明になります。




1. 駅の乗降人員とアクセス:阪急3路線の分岐点

十三駅(阪急神戸本線・宝塚本線・京都本線)の2025年通年平均乗降人員は69,414人で、阪急電鉄全86駅の中では大阪梅田駅・神戸三宮駅・西宮北口駅・烏丸駅・京都河原町駅に次ぐ第6位の規模です。大阪梅田駅を出た列車がここで神戸・宝塚・京都の3方向に分岐する、阪急にとって梅田と並ぶ重要な結節点となっています。




コロナ禍の影響を受けていた2020・2021年を除くと、2025年次は阪急全線でも珍しくコロナ前の水準を上回った駅となっており、街の勢いが数字にも表れています。なにわ淀川花火大会(毎年8月第2土曜日開催)の最寄り駅としても知られ、近畿の駅百選にも選定されています。

【ポイント】
大阪梅田から2〜3分という近さでありながら、独立した繁華街としての集客力を持っているのが十三の強みです。梅田で飲んだ後に「もう一軒」と流れてくる客層と、十三自体を目的地とする客層の両方を見込めます。

2. 商圏人口:淀川区でも際立つ単身・若年層の密集地

十三エリア(十三東・十三本町・十三元今里の3町丁合計)の人口は約14,700人、世帯数は約9,700世帯(令和2年国勢調査ベース)です。淀川区全域(人口183,444人、世帯101,954)の中でも、十三エリアは特に濃密な人口構成を持っています。

単身世帯率は十三東74.1%、十三本町73.0%と、淀川区全域(58.0%)を大きく上回り、区内でも西中島に次ぐ高水準です。




年齢構成も特徴的で、20〜39歳が十三本町38.3%、十三東37.1%と、淀川区全域(29.1%)を大きく上回ります。持家率は十三東22.4%・十三本町28.9%と低く、賃貸中心の若年単身層が厚いエリアであることがわかります。外国人比率も十三本町6.0%・十三東4.7%と区内でも高めの水準です。




【ポイント】
十三は淀川区の中でも特に「単身・若年層」への偏りが強いエリアです。北新地(接待需要中心)とは対照的に、少人数で気軽に立ち寄れる庶民的な価格帯の業態が支持されやすい土地柄です。外国人比率の高さも踏まえると、多国籍な客層に対応できる業態にもチャンスがあります。

3. 競合状況:しょんべん横丁の西側と、再開発が進む東側

十三駅を中心としたエリアは、西側と東側で対照的な表情を見せます。

  • 西側(しょんべん横丁・商店街群):西口改札を出てすぐの線路沿いには、通称「しょんべん横丁」と呼ばれる大衆酒場・立ち飲み屋が密集するエリアがあります。さらに西へ進むと「十三フレンドリー商店街」「十三本町商店街」「十三元今里商店街」が約500mにわたって連なり(3商店街合計62店舗)、生鮮食品を扱う個人商店や飲食店、日用品店が並ぶ、地域住民の生活に根ざした商店街です。1945年6月7日の大空襲で一帯は焼け野原になりましたが、戦後の区画整理を経てこの商店街群が発展しました。
  • 東側(再開発エリア):近年、保育園や図書館を併設したタワーマンション「ジオタワー大阪十三」が新たなランドマークとして誕生し、2026年5月20日には1階に都市型スーパー「フードスタイル十三東店」がオープンしました。東側では新規出店も相次いでおり、人口増加が見込まれています。
  • 淀川河川敷(ミナモ十三):十三駅東側から徒歩5分の淀川河川敷では、屋台エリア「淀川つつみ市 ミナモ十三」が2026年8月に開業します。寿司・焼き鳥・おでん・居酒屋・イタリアン・ラーメン・カフェなど、地元の飲食店を中心に誘致された屋台が開業時22店舗、その後29店舗まで拡大予定です。BBQ施設や舟運、自然体験教室もすでに稼働している「にぎわい創造事業」の一環で、対岸には梅田の夜景が広がる立地です。

地元アーティストが発起人となった壁画プロジェクト「淀壁プロジェクト」も進行しており、下町らしい猥雑さと新しいカルチャーが同居する街並みが生まれています。

密集地帯としてのリスクにも注意
飲食店が密集する木造建築の多いエリアだけに、火災リスクにも留意が必要です。直近5年以内でも、2023年10月31日(十三東2丁目、6棟・約260㎡焼損)、2025年7月6日(十三駅東口すぐの十三東駅前商店街、10店舗・約450㎡焼損)と、2件の大きな火災が発生しています。狭い路地に木造の店舗が密集する立地条件が被害拡大の一因になったと報じられており、出店の際は防火設備や避難経路の確認も重要なポイントになります。


2025年7月の火災で焼損した十三東駅前商店街の跡地。

街が駅前から広がっている実感
近年は、しょんべん横丁や3商店街を中心とした従来の「駅前」エリアだけでなく、東側のタワマン開発や淀川河川敷のミナモ十三など、十三の街そのものが駅周辺から外側へとどんどん広がっている印象があります。出店エリアを検討する際は、駅前の一等地だけでなく、広がりつつある周辺エリアも視野に入れる価値があります。

【ポイント】
「西側=昔ながらの大衆酒場文化」「東側=タワマン人口増加と新しい商業開発」「淀川河川敷=屋台という新しい業態」という3つの動きが同時進行しているのが今の十三です。特に2026年8月開業のミナモ十三は、屋台という小規模・低コストで参入できる業態の受け皿になる可能性があり、新規出店を考える上で見逃せない動きです。

4. 賃料相場:坪2万円弱で安定、2025年はやや下落

十三駅の賃料相場は、飲食店ドットコムの公式データが直接取得できました。

項目 数値
平均坪単価 19,401円
最高坪単価 56,764円
一番多い階 地上1階

※出典:飲食店ドットコム「十三駅の賃料相場情報」(2026年8月時点)。同データベースに掲載された「最低坪単価」(5,023円)は、確認できた個別物件の水準から見て相場を大きく下回るため、今回の記事では掲載を見送りました。




参考事例(低価格帯):十三本町1丁目(十三駅徒歩3分)、2階、13.2坪、賃料143,000円、坪単価約10,833円(募集中)

年別の推移を見ると、2023年19,227円→2024年19,510円→2025年15,849円→2026年19,830円と、2025年にいったん下落したものの、2026年には回復しています。




日本橋や上本町のように1階と空中階で極端な差がつくエリアとは異なり、十三は平均・最高ともに他の梅田近接エリアと比べて手頃な水準にあります。2025年の一時的な下落は、供給物件の増加や市場の調整局面を反映している可能性があり、2026年に回復基調にあることも踏まえると、比較的出店しやすいタイミングだと考えられます。

一方で、月々の坪単価とは別に、初期費用(敷金・礼金・保証金)が高めに設定されている物件があるとの見方もあります。実際に確認できた十三本町1丁目の路面店舗物件では、賃料55万円に対して敷金300万円(賃料の約5.5ヶ月分)・礼金200万円(約3.6ヶ月分)という、一般的な相場(敷金・礼金とも1〜2ヶ月分が目安とされることが多い)を上回る設定になっていました。1件の事例だけでエリア全体の傾向と断定はできませんが、月額賃料の安さだけで判断せず、初期費用まで含めた総額で比較することをおすすめします。

5. まとめ:十三駅で飲食店を成功させる3つのポイント

  1. 西側と東側、どちらの十三で勝負するかを決める:昔ながらの大衆酒場文化が根付く西側と、タワマン人口増加が進む東側では、狙うべき客層がまったく異なります。
  2. 単身・若年層向けの庶民価格帯を意識する:単身率70%超という濃密な人口構成を踏まえ、コストパフォーマンス重視の業態が支持されやすいエリアです。
  3. 月額賃料だけでなく初期費用・防火対策まで含めて判断する:初期費用が高めの物件がある点や、密集地帯特有の火災リスクも踏まえ、総額ベース・安全面の両方から物件を見極めることが大切です。ミナモ十三の屋台のような、小規模・低コストで参入できる新しい選択肢も視野に入れる価値があります。

十三駅は、下町の飲み屋街としての伝統と、タワマン・河川敷開発という新しい波が同時に押し寄せている、変化のただ中にあるエリアです。出店を検討される際は、しょんべん横丁の濃密な雰囲気と、東側の新しい開発エリアの両方を実際に歩いて比較してみることをおすすめします。

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よくある質問(FAQ)

Q. 十三は「怖い街」というイメージがありますが、実際どうですか?
A. 風俗色の強いエリアも一部にあり、そうしたイメージが先行しがちですが、実際に歩いてみるとフレンドリーな商店街や住宅街が広がる、庶民的で親しみやすい街だという声も多く聞かれます。エリアによって性格が大きく異なる点を理解した上で立地を選ぶことが大切です。

Q. 十三エリアで火災は多いのですか?
A. 直近5年以内でも、2023年10月31日(十三東2丁目、6棟焼損)と2025年7月6日(十三駅東口すぐの十三東駅前商店街、10店舗焼損)の2件の大きな火災が発生しています。狭い路地に木造の店舗が密集する立地条件が被害拡大の一因とされており、出店の際は建物の構造や防火設備も確認しておくと安心です。

Q. 十三の初期費用(敷金・礼金・保証金)は高いですか?
A. エリア全体の傾向として断定できる資料は見当たりませんでしたが、確認できた1件の路面店舗物件では、賃料に対して敷金・礼金が一般的な相場(1〜2ヶ月分程度)よりかなり高く設定されていました。月額賃料の手頃さだけで判断せず、初期費用まで含めた総額で比較することをおすすめします。

Q. 「ミナモ十三」とはどんな施設ですか?
A. 十三駅東側から徒歩5分の淀川河川敷にできる屋台エリア「淀川つつみ市 ミナモ十三」です。2026年8月開業予定で、開業時22店舗、その後29店舗まで拡大予定。寿司・焼き鳥・居酒屋・ラーメンなど地元の飲食店が中心に誘致されています。

Q. 十三駅周辺でタワーマンションは増えていますか?
A. はい。保育園・図書館を併設した「ジオタワー大阪十三」が新たなランドマークとして誕生し、2026年5月には1階に都市型スーパーもオープンしています。十三駅東側を中心に再開発が進み、人口増加が見込まれています。

Q. 十三の賃料は北新地と比べてどうですか?
A. 大きく異なります。北新地は坪3万〜5万円クラスも珍しくない一方、十三の平均坪単価は19,401円で、日本橋や上本町といった中堅エリアとも近い水準です。庶民的な飲み屋街としての性格が、賃料水準にも表れています。

Q. 十三エリアで飲食店を開業する際、どんな業態が向いていますか?
A. 単身率が非常に高く、庶民的な価格帯の大衆酒場文化が根付いているエリアなので、コストパフォーマンス重視の業態が基本的に向いています。外国人比率も高めなので、多国籍な客層を意識した業態にもチャンスがあります。2026年8月開業のミナモ十三のような屋台形式も、新しい選択肢として検討する価値があります。

出典

※本記事のデータは調査時点(2026年8月)のものです。数値は変動する可能性があるため、実際の出店判断の際は最新情報を個別にご確認ください。

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