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中崎町駅の飲食店出店ポテンシャルを徹底分析|インバウンドで沸くカフェ激戦区の商圏データと賃料相場【2026年最新】

商圏分析

四谷 義仁

筆者 四谷 義仁

不動産キャリア20年

飲食店専門の不動産会社「株式会社不動産スペース」代表。不動産キャリア20年。大阪・京都・兵庫エリアを中心に、店舗仲介・管理・閉店サポートから収益物件の売買まで手がける。これまで数多くのカフェ・居酒屋・ラーメン店などの開業支援を行い、実際の経営数値や現場課題をもとに"リアルな店舗経営の見える化"を発信中。現場の泥臭さも、数字のシビアさも知る「現実派不動産屋」

大阪駅・梅田駅から歩いて15〜20分、Osaka Metro谷町線の中崎町駅は、第二次世界大戦の空襲を免れた昔ながらの長屋が数多く残り、それらを改装した古民家カフェが密集する「カフェ好きの聖地」として知られるエリアです。今回は中崎町駅を「飲食店の出店先」という視点でデータを整理しました。日本橋・上本町・天満の記事と比較しながら読むと、エリアごとの違いがより鮮明になります。




1. 駅の乗降人員とアクセス

中崎町駅(Osaka Metro谷町線)の1日乗降人員は16,963人(2025年11月11日交通調査)で、谷町線26駅中17位、他線と合算しない単独駅としては第11位です。地上出入口は4カ所あり、1・2号出口は大日寄り(北側)、3・4号出口は東梅田寄り(南側)にあります。

数字だけを見ると、ここまで扱ってきた日本橋・上本町・天満に比べて乗降人員は少なめです。ただし中崎町駅は谷町線の単独駅であり、他路線との乗換駅ではありません。周辺の天神橋筋六丁目駅(谷町線・堺筋線・阪急千里線)や東梅田駅(谷町線)と比べても、駅の規模だけでエリアの実力を測れないのが中崎町の特徴です。




【ポイント】
中崎町は「駅の乗降人員」よりも「エリアそのものの知名度・回遊性」で人を集めるタイプの商圏です。梅田・茶屋町からの徒歩来街者や、SNSで街の存在を知って目的地として訪れる客層も多く、乗降人員だけでは見えない集客力がある点は、出店判断の際に押さえておきたいポイントです。

2. 商圏人口:中年層と単身層が厚い、長屋の残る街

中崎(1〜3丁目)の人口は3,033人、世帯数は1,921世帯(令和2年国勢調査ベース)です。隣接する中崎西(1〜4丁目)は人口3,383人、世帯2,153世帯で、あわせて「中崎町エリア」として一体的に語られることが多い地域です。

年齢構成は40〜59歳が32.2%と最も厚く、北区全域(28.7%)を上回ります。単身世帯率は67.0%(中崎西は71.4%)と北区全域(63.7%)より高く、賃貸中心のエリアであることがうかがえます。





住宅構造にも中崎らしさが表れています。戸建・長屋率は10.3%で、北区全域(7.2%)より高い水準です。北区は全域的にマンション中心(共同住宅率92%超)のエリアですが、中崎だけは昔ながらの長屋がまとまって残っており、これが古民家カフェという独自の景観を生み出す土台になっています。



【ポイント】
天満(単身・若年層)、日本橋(単身・高齢層)、上本町(子育てファミリー層)と比べても、中崎町は「40〜50代の単身層」という独特の層が厚いエリアです。年齢層は若年層一辺倒ではなく、幅広い客層を狙えるポテンシャルがあります。長屋を活かした内装・空間づくりとの相性の良さも大きな強みです。

3. 競合状況:北西のインバウンド、南東のおいでやす通り、南西の梅田タワマン街

中崎町駅の周辺は、大きく3つのエリアに分かれます。

  • 駅北西側(中崎西):長屋を改装した古民家カフェが密集するエリアで、近年インバウンド需要が急激に増加しています。アジア系よりも欧米系の観光客が目立つのが特徴で、土日祝日は日本人も含め早朝から夜までカフェ巡りを楽しむ人で賑わう観光エリアになっています。この人気の高まりが、賃料急騰(後述)の主な要因と考えられます。
  • 駅南東側(中崎・黒崎町・浪花町=天五中崎通商店街「おいでやす通り」、通称「横天満」):中崎町駅と天神橋筋(天五交差点)を結ぶアーケード商店街「おいでやす通り」を中心に、天五から中崎町へ向かう一帯を指す総称が「横天満」です。おいでやす通り自体は長らくシャッター通りとして苦戦していましたが、コロナ明け以降は飲食店舗が増えて新しい風が吹いており、周辺にも多くの飲食店が広がっています。「横天満」という呼び名の通り、JR天満駅の賑やかさに比べると少し落ち着いた雰囲気で食事をしたい層の受け皿になりつつあります。
  • 駅南西側(万歳町・堂山町=梅田の端):北野病院周辺を含む、梅田に最も近い住宅エリアです。パークタワー梅田、ローレルタワー万歳町、建築中の「ブランズタワー大阪梅田」(旧称:ブランズタワー梅田プロジェクト、中崎1丁目・北野病院北側、地上38階・総戸数256戸、2027年1月竣工・3月下旬入居開始予定)など高層分譲マンションが相次いで建設されているほか、単身向け賃貸マンションも多く、大阪市内でも屈指の人気住宅エリアとなっています。

駅前の生活利便性も向上しています。ライフ中崎町駅前店に加え、旧ナベル本庄の跡地にはサンコー中崎町店がオープンし、日常の買い物環境が充実してきています。

【ポイント】
中崎町は「北西=インバウンド観光需要が集まる中崎西」「南東=地元・近隣客の食事需要が戻りつつあるおいでやす通り」「南西=梅田に近い高級・単身住宅需要」という3つの異なる需要が同じ駅の徒歩圏に共存しているのが最大の特徴です。狙う客層によって、北西・南東・南西のどのエリアで勝負するかが大きく変わります。

4. 賃料相場:2024年から2025年にかけて急騰

中崎町駅の賃料相場は、飲食店ドットコムの公式データが直接取得できました。

中崎町駅の店舗賃料相場情報(直近1年間、飲食店ドットコム調べ)





項目 数値
平均坪単価 24,923円
最高坪単価 88,000円
一番多い階 地上1階

※出典:飲食店ドットコム「中崎町駅の賃料相場情報」(2026年7月時点)。同データベースに掲載された「最低坪単価」(6,417円)は、確認できた個別物件の水準から見て相場を大きく下回るため、今回の記事では掲載を見送りました。

参考事例(自社調べ):中崎1丁目(中崎町駅徒歩1分)、1階路面、木造2階建、34.42坪、賃料400,000円、坪単価約11,622円(2026年7月時点)

年別の推移を見ると、2023年19,054円→2024年17,658円→2025年24,610円→2026年24,718円と、2024年から2025年にかけて坪単価が4割近く急騰しています。駅北西側(中崎西)で近年急増している欧米系を中心としたインバウンド需要が、この時期の賃料上昇に直結していると考えられます。




【ポイント】
中崎町は「知る人ぞ知る隠れ家エリア」から「インバウンド観光客も押し寄せる観光地的エリア」へと急速に変化しており、賃料の伸びがそれを裏付けています。特に駅北西側(中崎西)は上昇が顕著だと見られる一方、南東側の天五中崎通商店街(おいでやす通り/横天満)はコロナ明けから飲食店が増え始めた段階で、まだ相対的に出店しやすい可能性があります。エリア内でも温度差があることを踏まえて、坪単価だけでなく総額ベース・エリア単位での比較を行いましょう。

5. まとめ:中崎町駅で飲食店を成功させる3つのポイント

  1. 北西・南東・南西、どのエリアで勝負するかを明確にする:北西側(中崎西)はインバウンド観光需要、南東側(おいでやす通り)は地元・近隣客の食事需要、南西側(梅田方面)は住宅需要と、同じ駅圏内でも性格がまったく異なります。
  2. 長屋の雰囲気を活かした内装・コンセプトを検討する:中崎町らしさは「昔ながらの長屋×新しい感性」にあります。画一的な内装よりも、建物の個性を活かす設計が集客につながりやすいエリアです。
  3. 賃料上昇のタイミングとエリア差を踏まえて意思決定する:北西側を中心に坪単価が急騰する一方、南東側のおいでやす通りはまだ相対的に出店しやすい可能性があります。狙うエリアごとの温度差を意識しましょう。

中崎町駅は、大阪駅・梅田駅というターミナルのすぐそばにありながら、昔ながらの下町の雰囲気を色濃く残す、大阪でも独特な立ち位置の商圏です。出店を検討される際は、商店街と路地裏、両方の空気を実際に歩いて確かめてみることをおすすめします。

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よくある質問(FAQ)

Q. 中崎町はなぜ古民家カフェが多いのですか?
A. 第二次世界大戦時の空襲被害を免れたため、築100年を超えるものも含めて昔ながらの長屋が数多く現存しています。2002年頃からこうした長屋を改装したカフェが誕生し始め、次第に増えていったことが「カフェの聖地」と呼ばれる理由です。

Q. 中崎町駅と天神橋筋六丁目駅、天満駅は近いのですか?
A. いずれも徒歩10分前後の距離にあり、天五中崎通商店街を通じて天神橋筋商店街や天満エリアともつながっています。この3駅・3エリアは徒歩で回遊できる範囲にあり、あわせて出店エリアを検討する価値があります。

Q. 中崎町の賃料は今後も上がり続けますか?
A. 断定はできませんが、2024年から2025年にかけての急騰は、駅北西側(中崎西)で急増しているインバウンド需要を反映したものと考えられます。北西側は高止まりする可能性がある一方、南東側の天五中崎通商店街はコロナ明けから飲食店が増え始めた段階で、まだ相対的に出店しやすい可能性があります。

Q. 「横天満」とは何ですか?
A. 天神橋筋の「天五」交差点から中崎町へ向かう一帯を指す総称です。中心となるのは天五中崎通商店街(おいでやす通り)ですが、周辺にも多くの飲食店が広がっています。おいでやす通り自体は長らくシャッター通りとして苦戦していましたが、コロナ明け以降は飲食店舗が増えて活気が戻りつつあります。JR天満駅周辺よりも落ち着いた雰囲気で食事をしたい層の受け皿になってきています。

Q. 中崎町駅南西側(梅田方面)の住宅事情はどうなっていますか?
A. 北野病院周辺は梅田に最も近い住宅エリアで、パークタワー梅田・ローレルタワー万歳町・建築中の「ブランズタワー大阪梅田」(2027年1月竣工・3月下旬入居開始予定)など高層分譲マンションの建設が相次いでいます。単身向け賃貸マンションも多く、大阪市内でも屈指の人気住宅エリアです。テイクアウトや近隣客向けの業態を考える際は、この住宅需要も選択肢に入ります。

Q. 中崎町エリアでは、どのあたりが1階の路面店になりやすいですか?
A. 天五中崎通商店街沿いと、中崎町駅からすぐの中崎1丁目周辺に路面店が集まっています。奥まった路地裏は空中階や隠れ家的な立地の物件も多く、業態によってはあえて分かりにくい場所を選ぶ店舗もあります。

出典

※本記事のデータは調査時点(2026年7月)のものです。数値は変動する可能性があるため、実際の出店判断の際は最新情報を個別にご確認ください。

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